彼女がそこにいるから(伯妖二次)
まったく、人間てものはどうしてこんなものを好むのか―
「ちょっとケルピー、お行儀悪いわよ」
手づかみでスコーンを口にしたケルピーにリディアが注意をした。
大きな口をあけて一口でスコーンを口にいれたケルピーは目線だけリディアに向けた。
「人間の食べ物なんて口に合わないんでしょ。どうしたのよ」
「ふりゃほう・・・ごっ」
ケルピーは何かを言いかけたが口の中のスコーンのおかげでリディアの耳には理解不能な音にしか聞こえなかった。
挙句の果て、
「ゴホッ、う・・・」
と変なところに入ったのかケルピーは少しばかり涙目になって咳を繰り返す。
「ほら、もう。慌てて食べるからよ。飲める?」
見るに見かねたリディアが水を持ってきてケルピーに差し出した。
あんなもの一口でいくからよ、とリディアはやれやれとため息をついた。
たまにやってきては人間の食べ物を興味本位でつつく変わり者の妖精、ケルピー。
人間に興味が湧いたとリディアに構うそれこそケルピーの中での変わり者。
「はぁ・・・。なんだって人間はこんなぱさつくもん食いやがるんだ?」
苦しかったのか水を流し込んでやっと一息ついたケルピーは皿に盛られたスコーンを見やる。
「だったら食べなきゃいいじゃない。本当変わり者よねあなたって」
午後のお茶をしようとしたところにケルピーが乱入してきたのだ。おかげで小妖精たちは怖がって逃げてしまった。
「そりゃ決まってるだろ」
「なにがよ?」
「リディアがつくったものに興味があるからだ」
まっすぐにリディアに向けての言葉。
リディアに興味があるから、だから彼女の作ったもの関わっていることに興味がある。
ほかならぬリディアが食べるものだから、どんなものか知りたくて―
「ふーん。やっぱりあなたって変わってるわよね」
リディアは少し嘆息して少しばかり冷めてしまったお茶を口に運んだ。
妖精の気まぐれにいちいち意味なんか考えていても仕方ない、とばかりにリディアはもう何事もなかったかのようにお茶の時間を楽しむ。
ケルピーも真向かいにどかりと座ってもう一つスコーンを口に運んだ。
こんどは半分くらい量を残して。
まったく分からない。どうしてこんなぱさついて粉っぽいものを人間は好むのか。
それでもリディアが属している世界だから、彼女の事が知りたくて今日もケルピーはいちいち人間の食べ物を口に運ぶ。
あとがき。
久しぶりの伯爵と妖精です。
そういえば最近ケルピー書いてないなとか思いまして、彼ベースです。
ケルピーの淡白だけどリディアを想う気持ちが好きです。
最近は人間は襲わないとか、そういう気の使い方。彼らしいですよね。
アニメではやっぱり人間から馬に変身・・・するんだろうなぁ
どんな描写になるんだろう、ちょっとドキドキです。











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