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2008.02.18 21:40

なんだかんだで・・・・・・・・・・・。
リディアは小箱に包んだチョコレートをみつめて嘆息した。
父親には今朝、ニコには家を出る前にプレゼントをした。
「あぁそうか、今日はバレンタインの日か」
と娘からの贈りものを見てはじめて今日が何の日か悟ったらしい。
娘からの手作りのチョコレートは普段研究のこと以外には無頓着な学者であってもやはり特別なものらしく、なにやら感慨深くジーンとチョコレートの入った小箱を見つめていた。
喜んでくれたのならばつくりがいがあったものだ。
スコットランドの実家にいた頃、バレンタインはもっぱら仲良しの妖精たちへチョコレートをあげていた。
人間の男の子とはあまり親しくなかったし父親だって普段は離れて暮らしていたからリディアにとってバレンタインとはいつもミルクをあげるのをその日だけチョコレートに変える日くらいのかんかくだったのだ。
それなのに今年は少しだけ違った。
なにより父親と一緒に暮らしている。
だから妖精たちの分もあわせて今年はいつもよりちょっと張り切っちゃおうと頑張ってみたら、ロタにも驚かれるくらいの量になってしまったのだ。
決して意図的ではない、断じて違うとリディアは心の中で必死に言い訳をしていた。
日頃の感謝なんだからと。
決してそんな好意とかそういうものじゃなくってと道すがら誰にでもなく一人リディアは言い訳を繰り返し念じ続ける。
でないと鞄の中の箱に負けそうだった。
やっぱりやめようかしら・・・・。
「おや、リディアさん。おはようございます」
「えっ・・・。お、おはようございます。トムキンスさん」
どうしようと逡巡していたら屋敷の外で伯爵家の執事とばったり出くわしてしまった。
考え事に没頭していたリディアは自分でも吃驚するくらい上擦った声を出してしまう。
こうなっては仕方ない。
あれこれ悩む間もなくトムキンスと一緒に屋敷へと入ってしまったのだから。
「そうそう、フェアリードクター宛てに領地からの手紙がまとめて配達されましてね。のちほどお部屋へ運びますのでよろしくお願いします」
「えぇ。わかったわ」
廊下を歩きながら事務的な会話を済ましトムキンスは立ち去ろうとする。
「あ、あの、トムキンスさん」
少しだけためらったあと、リディアはトムキンスを呼び止めた。
「はい。何でございましょう?」
「えっと、その・・・・・、エドガーは・・・」
「はい?旦那様ですか?」
「そのっ。どうしてるのかなぁなんて」
慌てて付け加えてみるもどう考えても変な質問だとリディアは内心あせってしまった。
「エドガー様ならつい先ほどお出掛けになられました。」
「あっ、そうなの。」
「えぇ、おそらくはスレイド氏のところでしょう。それほど遅くはならないと仰られていましたのでリディアさんがいるあいだには帰っていらっしゃるかと」
出かけていると知ったときのリディアの声に何かを感じ取ったのかトムキンスは慌てて聞いてもいないのに行き先を付け足した。
「そうなの。別に急ぎの用事があるわけじゃないから気にしないで」
だから本当に何でもないんだからねと話を打ち切ってリディアは仕事部屋のドアを開けた。
パタンと仕事部屋の扉を閉めて大きく息を吐く。緊張して一人でドキドキして、けれどもエドガーは屋敷にすらいなくって、まぁ現実なんてこんなものだとリディアは一人いい聞かせる。
いい聞かせて平静を努めてもまるで鞄が自己主張をするように存在感を輝かせる。
やはりいつもと違うものを持ってきているときは心が落ち着かないのか机の上で集中とはいかないようだ。
「出かけてるって・・」
トムキンスはスレイドのところだなんていうけれど実際はどうだかなんて分からない。
もしかしたら別の女性と一緒なのかもしれないし、確かにエドガーの周りには積極的にさそってくる女性だって多そうだ。
静かな部屋の中だとどうしても余計なことがじわりと頭の中を浸食していく。
別に仮の婚約者なんだから関係ないじゃない、エドガーが誰と一緒にいるかなんて。といい聞かせても油断をすればすぐに嫌な想像が頭の中を浸食し始める。
つい視線をやってしまうのは鞄の中の小箱。
りぼんをつけた小箱が私はここにいるのよとばかりにその存在をリディアに主張する。


「よろしいのですか?リディアさん頂いてしまっても」
リディアがリボンで飾り付けのされた小箱をさしだすとトムキンスは目をしばたたかせた。
「ええ、だってほら。いつもトムキンスさんたちをはじめみんなにはお世話になっているし、だからねレイヴンやお屋敷の皆にと思って」
「はぁ・・・、けれども・・・」
「大丈夫、味は保障つきよ。私も味見をしたしロタだって美味しいって言ってくれたわ」
トムキンスはなおもわたされた箱をじぃっと不安そうに見つめている。
その心情は主人であるエドガーを差し置いて彼の婚約者からバレンタインの贈りものをもらってもいいものかだったが生憎とリディアは気付かない。
もしかして手作りが駄目だったかしらと見当違いを思い当たり慌ててフォローを入れているくらいだ。
しかしうっかり受け取ってしまった手前突き返すのもいささか失礼だ。
「ありがとうございます。リディアさんの心のこもった贈りもの、皆で美味しくいただきます」
トムキンスはどうしたものかと天を仰いだがリディアの少し心配そうな顔を確認するとどうすることもできずそのまま受け取ることにした。
仕事なんか手につかなくってリディアは鞄の中からチョコレートを引っ張り出して下へと降りてきたのだった。
だって、折角作ったのにこんな気持ちになるなんて嫌じゃない。
みんなへの感謝の気持ちなんだからと割り切って差し出せば先ほどの胸の引っかかりも少しだけ和らいだように感じる。
トムキンスは柔らかい笑みを浮かべてくれ、のちほど皆で食すると朗らかに付け足してくれた。
「時にリディアさん。他にも誰かに贈ったりしたのですか?」
「えぇ、父様やニコにも」
一緒に廊下を歩きならがらリディアは指を折ってチョコレートをプレゼントした相手を数え始めた。
「妖精たちにもね日頃の感謝をこめて贈るのよ。みんな喜んでくれたわ」
「お父上も可愛い娘からの手作りとあらば父親冥利に尽きますな」
「そ、そうかしら。喜んでくれたら嬉しいわね」
リディアは今朝父親にチョコレートを渡したときの事を思い出してふふっと微笑む。
そういえばいつもより声がどことなく弾んでいたかもしれない。
トムキンスもそんなリディアの様子を暖かい気持ちで眺めていた。
「リディア僕の分のチョコレートはないのかな?」
「エ、エドガー!!!」
突然背後からいるはずも無い人物の艶やかな声が割り込んできた。
果たしてリディアが振り向くとそこには金色の髪の毛と灰紫の瞳をした完璧な容貌の青年が悠然とかまえていた。
「いいいつ帰ってきたのよ。突然後ろから話し掛けるんだもの吃驚するじゃない」
「本当にたった今だよ。トムキンスを呼ぼうとしたらリディアのドレスが見えたからいても経ってもいられなくなって真っ直ぐ来たんだ。ただいま、僕の妖精」
はっとしている間にエドガーはリディアの手をとって優雅に彼の口元まで持っていってしまう。
油断した隙の行為にリディアは顔を真っ赤にして素早く己の手を引っ込めるようするが寸前でエドガーに掴まれてしまう。
「で。僕の分はないのかな、チョコレート」
「な、なんのことよ」
「トムキンスたちの分はあって婚約者の僕の分が無いはず無いだろう?」
婚約者じゃなくって仮のよっ!と思い切り言ってやりたい衝動に駆られたがどうにかそれを抑え込む。
大体人の話をどこから聞いていたのか、考えるだけでリディアはカァっと頬が赤くなった。
どうやらよくない方向へと話が転じ始めたと察した執事はエドガーの帰り支度を整えるとばかりにそそくさとその場から退散した。
彼にいわせれば主人に気を使ったのだ。
リディアにしてみればこんなところに一人置いていかないでだが。
「ほらエドガー先に上着と帽子を脱いできたら」
「心配には及ばないよ、レイヴン」
「はい。エドガー様」
エドガーに忠実な従者はエドガーから上着と帽子を受け取りそのまま姿を消した。
「これでゆっくり話せるね」
にっこり笑みを浮かべて言うものだから余計にリディアは腹が立つ。
「チョコレートなんて私じゃなくってもくれる人なんてたくさんいるじゃないっ。今日だってホントは誰か女の人と会っていたんじゃないの?」
口をついて出たのはあまりにも可愛くない言葉でそういう風にしか言えない自分にもリディアは腹が立つやら呆れるやらで惨めな気持ちになる。
「僕はリディア以外の女性からチョコレートをもらいたいなんて思わないよ。何時だって欲しいのはリディア、君の気持ちだけなんだ」
「うそよっそんなの」
だってあなたの一番は私じゃない。
「リディアしかいらない」
あんまりにも真剣にまっすぐに見つめてくるからリディアは信じてしまいそうになる。
ちがう、信じたくなってしまう。
エドガーには想う人がいるのに、どうしてそんなに真っ直ぐにみつめてくるの?
「・・・・・違う。エドガーが好きなのは私じゃないわ」
そう言った途端リディアは何故だか無性に悲しくなってしまいエドガーの顔も見れずに俯いてしまう。
一生懸命食いしばらないと涙がでてしまいそうだった。
どれだけそうしていたのだろうか。
あまりにリディアが頑なだからなのか少しだけ息を吐き出してエドガーがそっとリディアの手を包む。
「リディア、とにかく部屋へ戻ろう。ここは冷える。体にもよくない」
そっと手と手が触れあえば熱を感じてリディアは自分の手が思いのほか冷えていることに気付く。
確かに廊下にずっといれば体も冷えてくるから異論を唱える気にもなれずリディアはエドガーにそのまま手を預けたまま一緒に仕事部屋へと戻った。
途中すれ違ったメイドに暖かいお茶を頼みエドガーはリディアを仕事部屋まで送ってくれた。
そのまま一緒に部屋の中へ入ってきて火掻き棒を持って暖炉の火種をかき混ぜる。
「エドガーいいわよ、そんなことしなくて。自分でやるわ」
およそエドガーにそんな行為は似合わなくって慌ててリディアは止めに入る。
「さっきまで冷えた場所にいたんだから暖かくしないと風邪をひくよ。僕の腕の中で倒れるんだったら大歓迎だけど、倒れたらカールトン氏も心配してしまうからね」
パチパチと火が爆ぜる音が聞こえる。
タイミングよくエドガーが薪をくべたからだ。
暖かい炎を見つめていると先ほどまでささくれだっていたリディアの心も少しずつほぐれるようにとろけていった。
どうしてあんな可愛くない言い方をしてしまったのだろう。
エドガーはこんなにも早く帰ってきたのに。
今だって寒くないようにってこんなにも優しくしてくれているのに。
少しだけ、勇気をください。
素直になれるくらいの。少しの勇気を。

「・・・・・あるの」
とても、とても小さな声でエドガーは気付くのに少しかかってしまった。
「本当はね、エドガーの分も用意したのよ」
小さな声を必死に紡ぎだす様子をエドガーはじっと見守った。
「いつもお世話になっている人にって、つくったの。エドガーも貰ってくれる?」
そういってリディアが取り出したのはりぼんで飾り付けのされた小箱。
リディアと同じ緑色のりぼんで飾られた小箱がエドガーの前に差し出される。
「これを僕に?」
「く、口にあうかどうか分からないけれど。その・・・・一応手作りでっ、だから・・・・」
リディアは途中から何をいいたいのか分からなくなってしまいそのまま尻つぼみに声が消えていく。
「今開けてもいいかな」
リディアが小さくこくんと頷くのを確認してエドガーはりぼんをほどく。
中から現れたのは紛れも無くチョコレート。
一つつまんで口の中にいれる。
それは紛れも無くチョコレートで少しだけ苦くけれどもとても甘くエドガーの口の中で溶けていった。






あ・と・が・き
ちょっと最近伯妖から遠ざかっていたので、女神に~らへんを読んで気分を盛り上げてみました。
なのでリディアの心理描写も若干そっちよりな感じで。
マジ稚拙な二次なので全然ですが、頑張って色々めざしてみました。
一応こないだ書いたリディア手作りチョコレートから繋がってます。

18日だけど気分はバレンタインなとある冬の日に。
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テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

タグ : 伯爵と妖精 二次小説

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