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2008.04.28 22:57

「誰か!誰かいませんかー??」
 あらん限りの大きな声を出せども返ってくるのは静寂のみ。
「ねぇってば~。誰か・・・いないの・・・」
 それでも先ほどからうさぎは懸命に声を張り上げる。
 いささかくたびれた様子ではあるがまだ諦めないとばかりに声を出し続ける。
 先ほどまでそれと一緒に拳も打ち付けていたのがさすがにそれは手の方が先に参ってしまったのでやめてしまった。だから今は声だけ張り上げている。
「いい加減諦めろ。これだけやっても誰もこないってことはあたりに誰もいないんだろ」
「ほっといてよ!もしかしたら誰か通りかかるかもしれないし」
 うさぎに忠告をした男性はひょいと肩をすくめて、これ以上は何を言っても無駄だとばかりに踵を返した。
 実際先ほどから何度か同じような押し問答が繰り返されていたからだ。
 そう、衛とうさぎはさきほどから閉じこめられていた。



 その日うさぎは図書館に来ていた。
 勉強嫌いのうさぎにとって図書館は普段あまり馴染みのないところだった。読書だって大半が漫画なのだからよほどのことでもない限りは図書館なんて縁が無かった。
 毎日通うなんて勉強大好きな亜美ちゃんくらいなものだろう、うさぎの友達のなかでは。
 比較的大きな図書館に何故うさぎが来ているかというと、学校の課題なのだから仕方が無かったからだ。歴史の授業でひょんなことから先生がグループを作って各版誰か、歴史の人物について調べて発表するようにと課題を出した。
 うさぎたちも当然グループ内で散々誰にするか迷って、やっと決まったからさて次は史料を探さなければという段になった。
 学校の図書館もみんなで見にいったがなかなかこれはというものが揃っていなかった。
 公立の普通の中学校の図書館よりも近所にある図書館に行ったほうがいいんじゃないと誰かが提案してだったらみんなで学校帰りに立ち寄ったのだ。
 滅多にこない図書館はとても広くて大きくて、図書館独特の古い本の香りがとても新鮮だった。歴史とかそういった難しい資料は一般開架コーナーではなくて専門史料コーナーにあった。そういったところはうさぎたちの背よりも高い本棚が一面に並んでいてその中にぎっしりと資料が詰まっていた。
「すごーい・・・・。本だらけだ」
 誰とはなしに声にだした感想に一同うんうんと頷いてみな一様に本棚を見上げた。
 こんな中から本当に目当ての本なんて探せるのかなと不安になったりもしたがグループの中にこういったことに詳しい生徒がいて、こういうときはレファレンスコーナーに質問するといいよと教えてくれた。
 授業でこういったことをしなくちゃいけなくて、とレファレンスコーナーの女性に説明をしたら丁寧に教えてくれてうさぎたちは溺れちゃうんじゃないといった量の本の中から目当てのものを無事選び出すことが出来た。
 ありがとうございますとお礼を言うと少しだけ茶色く染めた髪の毛を大人っぽくヘアピンで留めたお姉さんはにこりと笑って、
「実はね、もう何組か同じような質問をしにきた子達がいてね」
と教えてくれた。皆考えることは一緒らしかった。
 調べもの頑張ってねと励ましの言葉を貰って職員のお姉さんと別れた一行は今日はもう随分と時間が経ったし今日はこれで解散となった。
史料を借りて、入り口付近が近づいてくる。
「うさぎちゃんはまっすぐ帰る?」
 隣を歩いていたクラスメートが聞いてきた。
「うーん、せっかくだからもうちょっと中を覗いていこうかと思って」
 滅多にこないから珍しくってとうさぎはもう少しだけ居残ることにしたのだ。このあたりでも大きい部類に入るこの図書館はいくつかのブロックに分かれていてどうせだったらもう少し中を探検したいななどとうさぎは考えたのだった。
「えー、珍しい」
 うさぎの勉強嫌いを知っているクラスメートが混ぜっ返す。
「もう、私だって本くらい読むんだから」
 軽口を叩き合っているところで解散となった。
 各自銘銘の方向へ散らばっていく中でうさぎも踵を返し今来たところを戻った。


 一口に図書館といってもただ本だけがあるのではない。
 一般開架はゆったりとしたつくりで夕方だからか学生の姿もちらちらと目に付いた。
 それにうさぎの知っている雑誌なんかも置いてあったりして少し拍子抜けもした。こういうのも置いてあるんだったらまた来ようかな、なんて思ってみる。
 それからグループワークが出来る少人数制の部屋があったり、勉強の出来るスペースも見つけた。
 亜美ちゃんいるかなと思って覗き込んでみたが、残念ながら姿は見当たらなかった。
 そうやって色々眺めているうちにうさぎはどんどん図書館の奥へと足を進めていった。
 奥のほうにはさっきみたいに天井まで届くような大きな本棚がくくり付けてあった。一般開架コーナーはずいぶん賑わっていたがこちら側はさっぱりだった。
 静かで、蛍光灯の音とかうさぎの歩いている音くらいしか聞こえない。本のインクとカビが混じったような独特の香りが鼻につく。隠れ家のように入り組んだ通路にうさぎは自分が別の世界に迷い込んだかのような錯覚に陥った。
 どのくらいそうしていたのだろう。歩いても終わらない迷路のような通路を歩いていると突然何かにぶつかった。本のタイトルを見ながら歩いていたものだからいささか注意力が散漫になっていたようだ。
 突然の出来事に慌ててすっとんきょうな声を出してしまう。
「なんだ、こんなところで。おだんご頭じゃないか」
 上から降ってきたのは不本意ながらも聞き覚えのある男性の声。というよりもうさぎのことをおだんご頭と呼ぶ心当たりといったら今のところ彼しかいなかった。
「あっ、あんた。何でココに」
「それはこっちの台詞だ」
 最初に大きな声を出しそうになったものの慌ててここは図書館ということを思い出してうさぎは声を落として言葉を発した。
「わたしは学校のみんなと調べ物をしてて」
「へぇ~あんたでも図書館にくるんだな」
 にやりとイヤミそうな笑みを浮かべられるのだからうさぎとしては不愉快極まりなかった。
 こんなヤツほっといって早く移動しよ。
 うさぎが衛の脇をすり抜けていくと、後ろから足音が響いた。
 衛も同じ方向について来ているのだ。
 それが気になってうさぎは後ろに振り返った。
「もう、ついてこないでよ」
「俺だってこっちに用事があるんだよ。お前のほうこそ専門分野でもないくせにこっちに用なんかないだろ」
 確かにその通りだったのでうさぎは少しだけ息をつまらせてしまう。
「どうせ滅多にこないところだからとかなんとかで興味本位にこんなところまでふらふらしにきたんだろ」
 確かにそれは図星だったのでうさぎは反論することができなかった。こんなやつにまで見透かされるなんて甚だ不本意だった。
「う・・・うるさいわね。こ、この先に用事があるのよ」
「へぇ。どんな?」
 苦し紛れに言い訳をするもそれに対しても突っ込まれるものだからうさぎとしても完全に退路を絶たれてしまった。
 ほんっとうにイヤミなヤツ!と心の中で盛大に罵倒するも目の前の彼はいたって涼しい顔をしている。
「ど、どんなんだっていいでしょっ。あんたには関係ないんだから」


 結局衛を追い払うことはできなかった。今だってうさぎのあとを歩いてついて来ている。
 まるでいたずらっ子を見張る警備員のように静かにぴたりとうさぎのあとを歩いているのだった。こうなってはうさぎとしては意地だった。
 辺りはもう既に暗くこんなこと続けていることなんて意味無いのにと思いながらも先ほどの言い合いが尾を引いてしまって引っ込みがつかなくなっていたからだ。
 うさぎが入ったのは専門資料室と書かれた扉だった。今いるところだった十分専門分野に特化していたがこの先は古い資料があるのか鍵つきの扉がついていた。
今は開け放たれているその扉の向こうをそっとうさぎは覗き込んだ。
「もういいだろう。ほら、さっさと帰れ」
 うさぎが足を踏み出そうとした途端後ろから声がかかった。
「なによ、あんたには関係ないでしょ」
「この辺は入り組んでいるんだ。何なら途中まで案内してやろうか?」
 一応図書館のこの辺りの地理に不慣れなうさぎを心配してなのか衛が譲歩案をだした。
 けれどもそういった居丈高な態度もにもうさぎはカチンときてしまう。
「いいわよ、別に」
「こっから先はおだんご頭にはなおさら用がないような代物ばかりだぜ」
「・・・・そんなこと、わからないじゃない。もしかしたら今日見つけたのよりももっといい史料が見つかるかもしれないじゃない」
 言ってうさぎは名案とばかりに足を踏み出した。今まで気付かなかったけれどももしかしたらそういったことだってあるかもしれない。そうしたら明日みんなに自慢しよう。
 一体何時の時代からあるのか、どれもこれも古くって半分埃をかぶっているような物ばかりでおまけに目に付く背表紙は揃って難しい漢字のものばかりだった。
 分類も分からずどこに歴史の系統が揃っているかもわからないままうさぎはやみくもに探し回る。
 一応衛もうしろからついてきていてうさぎは、もうしつこいなと思ってしまう。
 それでも誰もいない、音の無い世界のような空間の中で彼の存在はうさぎの心を妙に安心させていたのだがうさぎはあえて気付かない振りをした。
「まったく、強情だな」
「なっ―」
 衛の言葉にうさぎが振り返ったそのとき。
 光が突然横切った。うさぎたちのいる場所にもかろうじて届いたそれはどうやら懐中電灯の光らしかった。どうしたんだろうと思うと今度はゆっくりとした音が響いた。
 最後にカタンと何かが閉まる音。
 うさぎは不思議に思って首をかしげた。
 うさぎたちのいる場所からは少し遠くてよくわからなかったのだ。
 その事態にいち早く反応したのは衛のほうだった。
「ちょっと、おい!」
 衛は慌てて扉のほうに行くも扉から離れていたのか気付くのが少し遅かった。鍵は掛けられてしまったあとだった。自身の腕時計に目をやって小さく舌打ちをした。とっくに閉館時間が過ぎていたのだ。
 うさぎの後を追っていて注意を怠っていた。いちいち通路全部までみている暇はないということか、それとも閉館時間くらい自分たちで把握をしてとっとと出て行けということか。
「なによ。どうしちゃったのよ」
 あとから遅れてきたうさぎが衛の後ろにたどり着いた。
「どうしたもこうしたも。閉館時間をとっくに過ぎていたんだ。で、今しがた俺たちは閉じ込められてしまったってわけだ」
 みたらわかるだろ、と衛は不機嫌もあらわにうさぎに説明をした。
「えぇぇぇっ!」
 ようやくうさぎも事態の異常に気付かされた。
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テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

タグ : まもうさ 二次小説 セーラームーン

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