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2008.04.29 16:31

 こんなところにイヤミなこいつと二人きり。
 まさかこんな大変なことになるとは思いもしなかったうさぎはそれから一生懸命に扉を叩いて大声を張り上げたが一向に成果はなかった。


 図書館の一番奥まったこの場所にあえて仕事を終えた職員が立ち寄ることもないのだろう。なんの応答も無かったし、おそらく一斉電源なのだろう、職員が完全に退館したのか電源も消えた。
 この時点で衛はある程度諦めた。 
 別にここが無人島とか、人の全く訪れない倉庫とかでもない。警備員が扉を閉めに来たということは明日開館の時間になったらまた扉を明けに来るのだろう。それまで不本意だがここで一夜をあかせばいいだけのことだ。
 確かに食べるものもなにもないし寝る処だって無い、快適とはいえない場所だったが今の季節別段問題は無いだろう。
「いい加減不毛なことをするのはやめろ。体力の無駄だしうるさい」
「なによ、こんなところに閉じこめられていいわけないでしょ。ママたちが心配するし、お腹すいたぁーー」
 既にうさぎは涙目だった。
 お腹すいたと口に出せば本当にお腹がその存在を主張し始めたし暗いなかで閉じこめられたという不安感で一杯だった。
「うるさいから泣くな」
「・・・・泣いてないもん」
「大体おまえがこんなところまで来るからこういうことになるんだ」
「別に誰もあんたについて来てなんて頼んでないもん」
 静けさに耐え切れないのか先ほどから何回も繰り返した言い合いが再びお互いの口に上った。
 仕方無しにうさぎは床に座り込む。
 衛も先ほどから諦めたのかうさぎよりも幾分早く座り込んでいて、通路に二人並ぶように座っていた。
 二人の間に開いた距離。それが今の二人の心の距離なのだろうか、これ以上お互い詰めようとはしなかった。
 暗がりの中夜目にだんだんと目が慣れてきて、少しくらいなら相手の表情や周りの様子がぼんやりと浮かぶようになった。
 図書館の奥の奥といっても一応は二階で明り取りの窓が申し訳程度についているお陰だった。
 横をちらりと見やれた暗闇の中に衛の顔が浮かび上がった。それだけでうさぎは一人じゃないから、という安心感を得ることができた。
 さすがにこんなところに一人取り残されたらずっと泣いていただろう。明かりがついていれば平気な本棚も今は暗さも相まってやたらと不気味な底なし沼のような深遠を醸し出していたからだ。
「ねぇ―・・・・」
 暗さと静かさに耐え切れなくなってうさぎは声を出した。
「あんたは何を調べてたの?」
「レポートの資料集め」
「ふーん・・・・・。大学生も暇じゃないのね」
「当たり前だろう」
 ぽつりぽつりと会話のようなものを繰り広げられる。駄目元で話し掛けたのだが衛も話しにのってきたのがうさぎには少し意外だった。
 なにしろ口を開けばすぐに軽口しか出てこないから。
「あーあ。今日のご飯なにかな・・・」
「さあな」
 うさぎの独り言にも衛は適当に相槌を返した。
「・・・・・・お腹減ったなあ」
 今ごろは両親やルナだって心配しているだろう。というかその辺りからクラスメートに連絡が行ってもしかしたらうさぎの両親が図書館に連絡を入れてくれたりしないだろうか。
 うさぎは自分の考えに少しだけ希望が湧いてきた。
と、そのとき。
 ふいに何か大きなものが窓を打ちつけた。
 急な出来事で背中をすくめて悲鳴をあげてしまう。
「そういえば、天気予報で今夜は荒れるって言ってたっけ」
「聞いてないわよ!」
 衛ののんびりとした言葉にむかついてうさぎは思わず声を荒げた。
「どうせ寝坊して天気予報みる暇もなかったんだろう」
 こちらもずばりと図星を当てられてうさぎは切換えす言葉を失った。
 そうこうしているうちに風の音はどんどん大きくなり普段は平気なはずの音でさえうさぎはいちいちドキっと反応してしまう。
「きゃっ」
 何度目かの突風にうさぎは声をあげ立ち上がりかける。
 普段だったらこんなことくらいなんともないのに。明るい部屋で家族のいる暖かい家の中でだったら安心していられるのに。
 立ち上がりかけたうさぎの腕を衛は咄嗟に掴んだ。
 外が光ったのはまさにちょうどそのとき。見計らったかのような一瞬の出来事だった。
「嘘・・・・」
 このうえ雷なんて。
 一拍遅れて盛大な音が辺りに響き渡った。
「雷、怖いのか。おだんご頭」
 腕を掴まれたまま衛が問うてきた。
 仕方無しにうさぎは再度座り込む。
「・・・・・怖くないもん」
 本当だった。普段だったらこんなの全然平気だった。だけど今は少しだけ、いつもとは違った状況だから吃驚しただけ。
 けれども恥かしくって、強がってしまって、そんなことはとても衛には言えなかった。
 そしてもう一つ。
 暗がりの中掴まれた腕だけが妙に熱くて異質でそっちのほうにもうさぎは気を取られてしまう。
「も・・もう!離してよ」
 どうしたらいいのか分からなくなってしまってうさぎは少しばかり乱暴に腕を振り払った。その反動かどうか。
 うさぎは暗がりの中足元のバランスを誤ってしまい勢い良く倒れこんでしまった。
「おい、危ない!」
 気配で感じ取ったのか、それとも音がしたのかうさぎがやばいと思うよりも衛の方が反応が早かった。床に倒れこんだうさぎは間一髪衛が下敷きになってくれたおかげでそれほどの痛みをともなうことは無かった。
 けれどもそのまま床に挨拶をしていたほうがうさぎの心境としてはよかったのかもしれなかった。少なくともうさぎにとってこういうことは初めてで、だから何がどうなっているか事実を認識した途端に固まってしまった。
(うそ・・・・・・・・・・)
 下に回りこんだ衛がうさぎを抱きかかえている状態だった。
 暗がりでお互いの表情が見えないのが幸いか。けれどもだからこそお互いの息遣いとか手のぬくもりとか、そういった普段はあまり気にしないことまで感じ取ってしまいますます気まずくなってしまう。普段からは想像もしない出来事にうさぎの思考は真っ白になってしまった。
 それに、衛の腕がうさぎの想像していたよりも強くって暖かかった。
 こんなこと今まで体験したこと無かった。どうしてそれが今、それもこの人となんだろう。
 それはどのくらいの出来事だったのか。
 うさぎには永遠のようにも感じられたしあるいは本当に一瞬のことだったのだろう。
 少しばかり身じろぎをしたら衛も腕を緩めてくれた。
 それに気付きうさぎは慌てて衛の上から飛び跳ねるように起き上がった。
「あ・・・ああありがとう」
「別に。一つ貸しにしておいてやるよ」
 うさぎの精一杯のお礼も衛は軽口で返した。
 そりゃ大学生からしたら、こんなのなんてこと無いのかもしれないけれど、うさぎは自分だけがこんなにも意識していることに少し腹を立てた。
 きっと何てこと無い普通のことなんだから。変に意識するほうがおかしいのだ。
「暗くて何にぶつかるかわからないんだ。むやみに動き回らないほうがいい」
 衛は起き上がり元の位置に座りなおしてうさぎにも座るよう促した。
「分かってるわよ」
「それにじっとしているほうが余計にお腹はすかないと思うけど?」
「そっ、そんなことないもん。じっとしててもお腹はすくもん」
「はいはい。いいから座れ」
 なんだかやっぱりいじわるしかされていない。けれどもずっと立っているわけにもいかないのでうさぎはしぶしぶ座りなおした。
 

体育座りをして頭をちょこんと膝の上に乗せる。今何時だろう。
 外はますます風の打ちつける音が酷くなってきている。どうやら雨も降り始めたようだ。
 雷が鳴っているということは一過性のものだろうか、だったらいいなとうさぎはぼんやりと考えた。
 外での荒れ狂う様子が嘘のようにここは静かだ。静か過ぎて世界には自分たち二人だけしかいないような取り残されてしまったかのような錯覚に陥ってしまう。
 いや、もしかしたらうさぎ一人だけしかいないのではないか。
 そんな考えに至ってしまってうさぎは思わず少し離れて座っているはずの衛に向けて腕を伸ばした。
 伸ばした腕は何も無い空気だけを掴む。空虚感が手のひらを包み込む。
 まさか本当にうさぎ一人だけ。最初から一人で閉じ込められてしまったのか。
 うさぎは慌てて体を動かして辺りを探り始めた。いくらしないうちに手のひらに何かにぶつかった感触が伝わってきた。
「何をしている?」
 それと同時に衛の声も聞こえた。
 声の主を確かめると急にうさぎは自分がしていた行動が恥かしくなってしまってそっぽを向いた。
「ちょっとね」
 あぁどうしてこうも可愛くない言い方をしてしまうんだろう。条件反射かいつもすぐに意地を張ったり、怒ってしまう。衛の方だって、もうちょっと優しい言葉でも掛けてくれれば・・・・。
 そうしたらきっともう少しだけ素直になれるのに。
「まったくおだんご頭は分けがわからないな」
「ちょっと。私はおだんご頭じゃないんだから、私の名前は―」
「うさぎ」
「へっ?」
「だから月野うさぎだろ」
「なによ。知ってるんじゃない」
 また思い切り自己紹介をしてやろうと目論んでいたうさぎは少し拍子抜けをしてしまった。
「だったらなんでいつもおだんご頭ーなんて言うのよ」
「そりゃおだんご頭はおだんご頭だから」
 面と向かってうさぎなんて呼べるかと内心で思いながら衛は答えになっていない答えを返した。
「なによ。それ」
「おだんご頭こそ、さっきから怖いなら怖いってちゃんと言ったらどうだ」
「怖くないわよっ!失礼ね」
 衛がちゃかすものだからまたうさぎは反射的に言い返してしまった。
「だったらその手離してもらうか?」
 えっ?と見るとうさぎは守るの腕を握ったままだった。そのままずっと会話をしていたらしい。
 事実に気付いてうさぎは慌てて放した。さっきとは逆になってしまった。
 衛は少し苛めすぎたかなと反省した。明かりも何にも無い部屋に閉じ込められてしまっのだ。中学生の彼女にとっては心細くて仕方ないのだろう。それでも衛が何か言うと一生懸命にぽんぽんと反応が返ってくるものだからつい衛も色々口からでてしまうのだが。
 あまりこういったところでからかいすぎるのもよくないだろう。
「別にいいけど」
「何が?」
「心細いって言うなら手くらい握っててやるよ」
 衛なりの気遣いがうさぎに届いたのか。お互い表情があまり見えにくい状況下にあって相手がどんな顔をしているのか見ることは出来なかった。
 衛が言った言葉に対する返事がいつまでたっても聞こえてこない。
「おだんご?」
「話!」
 訝しがって衛が再度話し掛けると堰を切ったようなするどい声が返ってきた。それもまったく話の見えない単語がだ。
「話?」
 まったく脈絡がなくて衛は聞き返した。
「何か・・・・・・・、その・・・。お話して・・・・・」
 一生懸命らしい、途切れ途切れの言葉がうさぎから返ってきた。
「話ってなんの?」
「な、なんでもいいから・・・・。・・・その・・、し、静かなの・・嫌だから・・」
 なるほどと、衛は合点がいった。さきほどのうさぎの行動もきっと沈黙に耐え切れなかったからなのだろう。聞こえるのが外の風と雨と雷の音だけでは心細かった、そういことなのだろう。だから隣に衛がいるかを確かめたくてああいう行動に出てしまったのだ。
 そう思えるとなんだか隣の少女が不覚にも可愛く思えてしまって衛は一人ゆるやかに破顔した。
「わかったよ。だけど何がいいんだ?」
「何でも・・・・」
 何でも、それが一番困る答えだ。衛は渋面を作った。そもそもお話と言われて何を話せばいいのか。長く続くものがいいのだろうが日頃そういった経験なんて皆無に等しいから何も浮かんでこない。
「ああ、分かった。だったら・・・」
 そうして衛は朗々とある話を語り始めた。

「・・・ちょっと、何よ、それ」
 先ほどから耳に流れ込んでくる衛の言葉に耳を傾けながらうさぎはつい口を挟んでしまった。
 なにしろ話をリクエストしたものの隣から聞こえてくるのはうさぎにはさっぱり理解できない単語の数々。
 もはや日本語かどうかもわからない。なんなのだこれは。
「なにって。今日俺が受けた講義の内容」
「って、大学の!?」
「当たり前だろう」
「さっきからちっともわかんない」
「さっき聞いたら何でもって言ったろ?」
 確かにそれはうさぎが言った言葉だったので何も言い返せなかった。黙り込んだうさぎが納得したと思ったのか衛は再びうさぎには理解不能な言葉の数々を紡ぎだす。
 それでもいくらか聞いていればその声にも慣れ、うさぎは一人きりではないというとても暖かい安心感に包まれていった。
 包み込むような暖かい衛の声を聞いていると外の世界と隔絶されて、何か綿毛のようなものにくるまれているような錯覚に陥っていく。ずっとこうして耳を傾けていたいというような甘い、とろけるような安心感。
 なにか懐かしいような、古い昔の感覚に身をゆだねていく。
 だから少しでもこの世界を留めておきたくってうさぎは目を閉じる。
 声から感じるぬくもりを話さないように。

 変なの。
 さっきまであんなに心細かったのに。
 今は全然平気。不思議な気持ち。だけど今はまだ手放したくない・・・・・。
 ねぇ、だから、もう少しだけこのままでいさせて―


 どのくらい話を続けたか。衛が自分の得意分野を話し始めていくらか経った頃、なにか重いものの感触が腕の辺りに伝わってきて少し身じろぎをして確かめた。
 いや、確かめるまでもない。何しろココにいるのは自分とうさぎだけなのだから。だから暗がりの中でよおく目を凝らすと、彼女が眠っていることに気がついた。
 うとうとして、意識を手放して体勢が崩れてしまったのだろう。距離が微妙に離れていたから衛のほうに倒れてきたというのが正しいところだろう。そのままの体勢だと少し可哀想な気がしないでもなくて衛は自分の体をうさぎの方にすこしだけ寄せた。
 まったく子守唄代わりに眠ってしまうだなんて子供のようではないか。
 すぅすぅという規則正しい寝息が辺りにこだまして触れ合った箇所が妙に暖かくなるのを感じながら衛はまぁしょうがないかと思った。


あとがき☆☆ ★☆ ☆ ★ 
ようやっと書き上げました

ひたすら自分の書きたいことを詰め込んだので詳細な設定はあまり気にしないでください。
あくまで暗がり、密室 二人きり メインで
ついでにいうならこのあと二人はどうなったのか?とかいう疑問もスルーです
多分数時間後に助け出されたのではないかと

なにぶん密室に二人きりネタがやりたい!!だけで始めたのでシチュエーションを考えるのが苦労しました。
で図書館。普通こんな事故ないよね・・・・・

エドリディでこれやったら延々エドガーの口説きなんだろうなぁとか思ってみたり
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テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

タグ : セーラームーン まもうさ 二次小説

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