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2008.06.27 20:17

ふと立ち止まってしまったのは、君の事を思い浮かべたから。
無造作にまとめた髪の毛をゆらして笑う女の子。



通りを歩いているとポールは向かいからすれ違った少女に目を奪われた。
けれどもそれは一瞬のことで、すぐに思い直すとまた帰り道を歩き出した。
すれ違ったときに感じた既視感は、けれどもポールの思い過ごしのようで実際にすれ違ったのはまったく違った少女だったからだ。
コーヒー色の髪の毛をまとめた少女ロタ。
最近実はやんごとなき出のお嬢様ということを知った何事にも物怖じしない度胸のすわった女の子。
まさかこんな街中で、そんな思いが一瞬よぎってけれども結局のところ自分の思い違いだった。
そのことにポールは一人くすりと笑った。
てっきりアシェンバート伯爵の元恋人かと思っていたらある意味それ以上に深い中だったことが判明した。
昔なじみだという、お互い遠慮のない歯にきせぬ物言いにポールは先日呆気にとられたものだった。
こちらからはあまり接点のない彼女だけに―
いや、接点ならあるにはある。
ロタからの預かりもの。
今だってそれのために外出したのだ。
驚いた?と問うてきたロタのくったくのない笑みを思う出すと自然に笑みがこぼれた。
自分に向けられたまっすぐな笑顔はそれだけでポールの心を温かくした。
もう一度会いたいな。
自然にそんな思いが立ち込めてくる。
気取ったところのない、普通の少女。自分もまたありのままでいて変に気構えることのない貴重な存在。
「・・ル!」
ふと空耳が聞こえたような気がしてポールは立ち止まった。
どうやら考えに没頭しすぎていて何時の間にか自宅のすぐ側まできていたようだった。
「ポールっ!!」
それよりも先ほどの声は空耳ではなかったらしい。
また間近で声が聞こえた。自分の名前を呼ぶ声が。
「う、うわっ」
呼ばれて立ち止まればすぐ間近に少女の顔があってポールは思いのほか大きな声をあげてしまった。
それも今まさに思いふけっていた少女の顔だった。
「そんなに驚くことかよ」
ニッと笑ってロタは挨拶をした。
言葉とは裏腹にポールのあまりの驚きようを面白がっていた。
「ど、どうしたの?今日は」
今まで頭の中にいたロタが急に現実になってやってきたことに動揺しながらもポールはなんとかそれだけを口に乗せた。
「うん。ほら、こないだ預けたやつ。あれの様子がきになってさ」
そうしてごそごそと荷物の中から真っ赤なリンゴを取り出した。
「こういうの食べるかなって思って。考えたらえさとかもあんたにまかせっきりだったしな」
「奇遇だね」
「何が?」
「僕もね。今買いに言っていたんだ」
そういってポールは紙袋の中から同じように真っ赤に熟れたリンゴを取り出してみせた。
ロタは目を丸く見開いて、やおら笑い出した。
くったくのない、本当の笑み。
ポールがずっとみていたいと思うような、素朴な飾り気のない笑みだった。
「そっか。あんたもか」
「ははっ・・・」
ポールもつられて笑い出した。
「だったらさ、あいつと一緒にうちらも食べよう。リンゴのまるかじりだってうまいもんさ」
そういってロタは先にポールの自宅の玄関へと歩いていった。
じいさんとこではいっつも飾ったもんしか出てこないんだ、焼きリンゴとかさ。とか言っている言葉が聞こえてきた。
二人と一匹で食べるリンゴはきっと美味しいだろう。
素朴でまるでここがロンドンではなく何処かの田舎、そう二人しかいないようなのんびりとした空間にいるような錯覚を思わせるような。
それは楽しそうだと思いを馳せながらポールは鍵を探そうと上着のポケットに手を突っ込んだ。




あとがき。
ポール×ロタの第二段
ほのぼのカップル大好きです、な作品
くどきとかそういうのじゃなく素朴なそこにあるような物語。
この二人は気がついたら咲いてました的な展開かなぁなんて思います


今週末、月曜はうさ誕ですね
なにかアップできるかな
とりあえず明日はセールの第一弾。行ってきます
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テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

タグ : 伯爵と妖精 二次小説

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