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2008.08.03 19:59

蒸しかえるような暑さの中商店街を進んでいく。
勿論行き先は決まっていた。
今日は確かお昼過ぎからいるよ、って教えてくれた元基のもとへ行くためだ。
ルナが夏休みこそ戦士としての特訓を~とかなんとか張り切っていたけれどそれはまぁ脇においておくことにする。
「もういっるかなぁ」
クラウンが近づくと自然に足取りも軽やかになって鼻歌だって飛び出してくる。
あまりにも気分がよかったのか、単なる前方不注意だったのか気がつくとうさぎは頭をぶつけていた。
「っと、ごめんなさい」
「いたいじゃないか。おだんご頭」
慌てて謝ったうさぎの頭上から聞こえてきたのはもはや慣れてしまったといっても過言ではないイヤミな声だった。
「あー、またアンタなの!」
「それはこっちの台詞だ」
もはや聞きなれた声なら次に出てくる言葉も定番だった。
「夏休みだからって浮かれすぎなんじゃないのか」
「う、うるさいわねっ」
確かに浮かれていたのは事実だったのでうさぎは二の句が告げなかった。


自動ドアをくぐるとひんやりとした空気がうさぎにからまりつく。
汗をハンカチでぬぐってうさぎは店内を見渡した。
奥のほうにお目当ての男性、元基を見つけて一目散に目指していく。
「こんにちは。元基おにーさん」
「やあ、うさぎちゃん。こんにちは」
あぁ、この笑顔よ。とうさぎはぽやんとした表情で元基を見上げる。
「なにかあった?」
「えっ・・・・」
「ほら、ここのあたり」
そういって元基は自分の眉間の辺りを指差してにっこり微笑んだ。
「えーーーーー」
言われたうさぎは慌ててごりごりほぐし始めた。
元基に会って先ほどまでの機嫌の悪さもどこかに吹き飛んだはずなのにまだ残っていたのだろうか。そんな顔を見せてしまったとあれば乙女の一大事だった。
「実は・・・さっき・・・」
だったらさっさと言ってしまったほうがいいか、と判断してうさぎは話し始めた。
先ほどの衛と会ったときの事を。
「あははは」
「もう!笑い事じゃないですよ!!」
ほんの数分前の出来事を聞いた元基は声に出して笑った。
いつものことだけれど微笑ましいというか、なんというかといった状況だったからだ。
「ほーーーんっと、あいつったらいっつもイヤミなんだから」
うさぎはぷうっと頬を膨らませた。
「まぁまぁ、怒ったらせっかくの可愛い顔が台無しだよ」
なだめられていると分かっていても可愛いといわれてしまえば自然に頬が緩んでしまう。
すっかり機嫌も直ってしまうというものだった。
「あ・・・れ、そういえば」
元基が突然何かを考えるような声をあげた。
「どうしたんですか?」
「うーーーーーん。たしか、今日はあいつの誕生日だったなあって思い出して」
「・・・・・・誕生日・・・ですか?」
「ああ、前に暑さの話をしてたら衛のヤツ、俺は8月生まれだから暑いのは平気だとかなんとか話したなぁって」
「へぇ・・・・・」
「で、何時って聞いたら・・・」
「それが、今日なんですね」
元基の言葉をうさぎが最後に引き継いだ。
ふーん、そうなのか。それにしてはちっとも嬉しそうな雰囲気じゃなかったけれど。
先ほどあった衛はいつもと大して変わらなかった。
うさぎにしてみれば誕生日といえばケーキは食べれるしプレゼントは貰えるしで一日とってもハッピーな日、という認識なのだったが。
「まあ、今度会ったらおめでとうの一言くらい言ってやってよ」
「なっ、え・・・。なんで私なんですか!?」
突然の提案にうさぎは思い切り言葉に詰まってしまった。
心なしか体温も上がった気がする。
「ほら、うさぎちゃん衛となかよしだから」
「ちっともなかよしじゃありませんっ!」

少し長居しすぎたのか、クラウンを出る頃には少しだけ日が西に傾き始めていた。
せっかく元基に会いに行ったのに話題の半分を衛に持っていかれたような気がしていたうさぎだった。
けれども誕生日、という単語だけが頭の隅に残っていた。
まあけれどもそうそう何度も顔をあわせることも無いだろうとうさぎはふるふると頭をふって歩き出した。
そういえばルナがなにかうるさく言っていたなぁとかたわいも無いことを考えながら道のりを歩いていく。このまま帰るのは勿体無いしなるちゃんのうちに寄っていこうか、どうしようか。
うーん、どうしよう、と考えながら歩いていると前方の人と目が合った。
あっと思ったときには遅かった。
「また会ったな、おだんご頭」
慌てて顔をそむけるも遅かった。さすがに目が合ったのに素通りで、というわけにはいかなかったのかうさぎが何か反応するよりも衛の方が先に話し掛けてきた。
まさか、本当に日に二度も顔をあわせることになるとは。
どこまでも腐れ縁なのか、うさぎは自分の運命を皮肉りたくなった。
「それはこっちの台詞よ。いっつも人の周りをうろちょろして」
すこしばかり顔を上げてうさぎも負けじと臨戦態勢に入った。
どうしてだかいつもムキになってしまう。
「うろちょろしてるのはどっちなんだか」
「な、何よ!!」
「夏休みの宿題、しなくていいのか?」
それでいていやみな笑みを向けてくるのだからますますうさぎだって頭にきてしまうのだ。
―そういえば今日―
言い返そうとしたうさぎの脳裏に先ほどの元基との会話がふとよぎった。
うさぎは開いた口を閉じた。
変なときに思い出してしまった。
そんなうさぎの様子を衛は怪訝そうに見やった。
普段ならここでもう一発くらい何か発せられている場面だったからだ。
ぷいと横を向いて口をつぐんだうさぎを衛は眺めた。
「おい、どうしたんだ?元気ないじゃないか」
「別に・・・・・・・」
どうしよう。
ここまであからさまだと逆に変ではないか。
けれども、どうにも言葉を出そうとしても口の中がむずむずとしてしまってなかなか二の句が告げなかった。
「なんなんだ、変なヤツだな」
ふっと衛は肩の息を抜くようにため息をついた。
すっかり毒気を抜かれてしまったかのようだった。
「まあ、同じ地域にすんでるみたいだからそりゃすれ違ったりはするわな」
じゃあな、と片手を挙げて踵をかえそうとする。
「あっ・・・・ちょっと」
うさぎはその背中に向かって慌てて声を掛けていた。
自分でも咄嗟で気がついたときには声のが先に出ていて、うさぎは狼狽した。
衛が再びうさぎのほうに向き直った。
「なに?」
「えっと、その・・・・・・」
勢いで声を掛けたはいいけれども口の中でまごついてしまう。
ええい!とうさぎは自分を奮い立たせた。
きっとここでいえなかったら多分気にしてしまうだろう。
だったら、そのまま言うっきゃない。
「お、おめでと!!」
情緒もなにもあったものではない。
かなり大きな声になってしまった。
「え?」
案の定言われた衛も何がなにやらといった表情でこちらを窺っていた。
「その、えっと・・・・さっき。さっき聞いて・・・・・。あんた今日誕生日なんでしょ」
叫んだとはいえやっぱりあとから恥かしくなって顔を真っ赤に染め上げてうさぎは言い訳をした。
別に深い意味はないけれど、やっぱりお祝いの言葉を言われるのはうれしいから。
うさぎは恥かしさも相まってふてくされたような表情でぷいと横を向いた。
突然言われた衛は一瞬意味を量りかねてきょとんとした表情をしていた。
すっかり忘れていた日。
衛にとってみればいつもの、普段の延長線も同じの今日の日。
それが急に意味を持った特別なものにかんじられた一瞬だった。
それを思い出させてくれたのがよりにもよって、まったく予想だにしていなかった目の前の少女。
「な、なによ」
ふと目があえばすかさず普段と変わらない勝気な表情がそこにあった。
「いや」
その頬が赤いのは気のせいだろうか。
「サンキュ」
照れ隠しと思えば衛のほうも自然と笑みが零れ落ちていた。

ハッピーバースデー

それは遠い日の魔法の言葉。
だれかからかけられる、幸せの言葉だった。








あとがき★ ★
ハッピーバースデー企画です
ふと思い浮かんだのがやっぱし無印ばーじょんだったので企画に乗ってみました
もうちょいみじかいはずだったのに結構な長さに
うん、でもまぁ、書き上げて満足です
きっと今では幸せにラブラブな誕生日だったんでしょう。
ラブモードではうさぎちゃんがあたまにりぼんつけて衛さんに抱きついてるのとか思い浮かびました。

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| セーラームーン | コメント(1) | トラックバック(0) | |

この記事へのコメント


うわぁ~。
いい!!(≧▽≦)

うさぎちゃんのツンデレな感じ大好き☆

まもちゃんと元基お兄さんに対してのGAPもたまんない(>ー<)

とってもいいお話し
ありがとうございました☆

| るき | URL | 2008.08.04 10:44 |

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