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2009.02.14 23:05

いつもと違って学校中が妙に浮足立っているのは今日が二月十四日であることが無関係ではないはずだった。
朝からほのかに香る甘い香りは女の子たちがほのかな想いを込めたチョコレートを鞄に詰め込んだからに違いないはずだし、もちろんうさぎだってそんな一般的な女の子の例に漏れてはいなかった。
二月に入ってから何度も練習をした手作りチョコレート(渾身作)を鞄の中に忍ばせてきていたからだ。
もちろんそれは放課後まっさきに大好きな恋人の元に直行したいからにほかならなかった。
「うさぎちゃん、もう帰るの?」
終礼の号令が終わるや否やで教室を飛び出そうとしたうさぎにクラスメートが声をかけた。
「えへへー」
うさぎは満面の笑みで返すと一目散に教室を飛び出した。




チョコレートは昨日の夜までかかってしまった。
もともと料理が苦手なうさぎだったから何回か練習しても一足飛びに上達するわけにはいかず、生来のおっちょこちょいも手伝ってか昨日のキッチンはやっぱりというべきか修羅場に近い状態だった。
ルナにはあきれ顔をされたし母親だって苦笑いを浮かべていた。
弟はもう少し辛辣だった。
チョコレートを溶かして固めるだけでは芸がないからということでトリュフに挑戦したのだけれども不手際があって失敗作がほぼ占めた。
かろうじて無事だったものを選んでラッピングしたのだ。
(うーん・・・、でもまぁ愛情はこもっているし。なんとかなるよね)
道中昨日の調理を振り返ってうさぎは内心ぺろりと舌を出した。
これから衛のところに行ってチョコレートを渡すのだ。
もちろん前もって約束は取り付けてあった。
恋人同士なのだから、このイベントは必須だろう。何かと多忙でこういうイベント事には少しだけ疎い彼氏だったけれどずっと前から騒いでいたおかげできちんと約束を取り付けていた。
いつもの公園での待ち合わせ。
自然と向かう足は軽やかなものになる。
普段待ち合わせをするときは衛のほうが先に到着をしているといったパターンのほうが多かったけれど今日ばかりはうさぎのほうが先に到着をしていたかった。
チョコレートを渡す側としては待ち合わせ場所で心の準備をしたいからだ。
少し急ぎ足だったから公園に到着するころには外の寒さなんて気にならないくらい体があったまっていた。
はずむ息を整えながら公園を奥へと進んでいく。
「まもちゃん、もう着てるかなぁ?」
(学校を真っ先に飛び出したんだもん。私のほうが早いかなぁ?)
ここまでくれば自然と頬もほころんでくる。
ご機嫌よく歩道を進んでいくと見慣れた人影がうさぎの目に飛び込んできた。
「やっぱまもちゃんのほうが早かったー」
見間違えるはずもないうさぎの恋人の衛の姿だった。
遠目だったけれどすらりとした体躯にいつものコート姿は衛に間違いないだろう。
ちょうど彼もやってきたばかりだったのかベンチではなく立っているのだったが。
「おーい!まーもちゃー・・・・」
声を出しかけて、うさぎはあっと思ってそれを途中で遮った。
駆け出そうとした足が数歩進んだところでぴたりと止まった。
上気した頬はみるみるうちに色を失っていった。
いや、固まってしまったといったほうがいいだろうか。
いくらか判断できる距離にて飛び込んできたもの。
それは衛の隣に女性がいるということだった。
驚いて固まったのは一瞬だった。
そのあとすぐにうさぎは気を取り直した。
(だってだって、道を聞いているだけかもしれないし、普通に友達・・・かもしれないし。うん、まずはたしかめなくっちゃ)
心の中で己を奮い立たせてそのまま再度歩き出した。
できるだけ自然になるように、と叱咤しながら。
けれども近づくにつれ、どうも平常とは違う二人の様子にうさぎは気がついた。
衛のほうが少しだけ押されている、途方に暮れたようなしぐさをとっていたからだった。
ずんずん歩いていって二人への距離が縮まるにつれうさぎにも状況が少しずつ飲み込めてきた。
だからこそ負けず嫌いというか独占欲もむずずと出てきたのだったが。
なんとなくわかってしまうのはやはりうさぎも同じ恋する女の子だからだろうか。
普段あまり勘は鋭くないのにこういう時だけは鋭敏になってしまうのだ。
「まもちゃん、待った?」
できるだけ自然に。自分では及第点だろうか。
たぶん少しだけ声が硬くなっていたはずだろうとうさぎは感じとった。
声のしたほうに衛と隣の女性が同時に振り向いた。
衛が安堵の表情を浮かべた。
反対に女性のほうは目を細めうさぎを値踏みするように上から下へと眺めた。
コートを着ているから制服まではわからなかっただろうけれど自分よりか年下の、まだ学生だとは気付いたはずだった。
「うさ」
いきなり二人の間に割り込んで、迷惑だったらどうしようと内心ビクついていたので衛のやさしい声にうさぎはホッとした。
「彼女が地場くんの待ち合わせ?」
そのかわり、女性のほうが険のあるそれでいてこちらを挑発するような口調で切り返してきた。
衛と同世代で化粧の似合ううさぎからみれば大人の女性だった。
こんな子が待ち合わせの相手、ホントに?口に出さなくっても瞳がそう言っていた。
「そうだよ、さっきから何回も言っているだろう。今日は彼女と待ち合わせだって」
衛が彼女の視線からうさぎを庇うように一歩前に出た。
「ふぅん・・・・」
衛の行動が気に入らなかったのか、女性は再度うさぎのほうに視線を向けてきた。
「なんですか?」
うさぎだって負けているわけにはいかなかった。
衛は女性から熱い視線をうけることがままあるから彼女だからといって安穏としているわけにはいかないのだ。
「親戚の子とかじゃなくって?」
にこりと微笑んでくる彼女の瞳はこう綴っていた。
だってまだ子供じゃない、と。
こういうときどうして私は中学生なんだろう、と思ってしまう。
「違います!まもちゃんは私のっ・・・・」
(あっ、だめだ)
言葉に詰まってしまったらもう駄目だった。
こういうときどうしても心が弱くなってしまう。
年齢だけはどうにもならないから。
あわてて目を瞬かせるけれどもじわりと視界がぼやけていくのを止めるすべはなかった。
少しうつむく姿をさらすのが悔しい。
これではこっちのほうが負けている、女性の言葉を肯定するようなものではないか。
きっと彼女は勝ち誇った表情をしているに違いない。
「いいかげんにしろよ、うさは俺の正真正銘の恋人だ」
低い声が静かに響き渡った。
「地場くんも大変ね、そんな冗談に付き合って」
衛は息をふぅっと吐いて思案気に視線を宙に浮かせた。
「あのな・・・。何度も言ってるけど俺には恋人がいるんだ」
「それはただの方便でしょう。有名な話よ」
くすくすと女性が笑った。
「方便?」
まさか、と衛が突然うさぎのほうを向いてその顎にそっと手を添えた。
刹那。
急展開過ぎてうさぎにはついていけなかった。
衛の顔が近付いてきて、それから―。
たぶんそれは目の前の女性にしたって同じことだったのだろう。
口をあけたまま固まっていた。
うさぎがそれを見たのは一瞬のことだった。
うさぎもあまりの衝撃に衛のほうを見上げたからだった。
「これが証拠」
この場の主導権を握ったのは衛だった。
そのままうさぎの手を握ると踵をかえした。
「悪いな、そういうことだから」
少しだけ困った顔してすまなさそうに衛は詫びた。
うさぎはまだ呆然としていた。
当たり前だ、何しろ突然うさぎの唇が衛のそれで塞がれたのだから。



「ちょっと、まもちゃん!」
声を発したのはだいぶ経った後。
衛のマンションに近づいた時だった。
「ん?」
隣に並んでいる恋人は不思議そうに聞き返してきた。
「さっきの・・・・」
声に出すのも恥ずかしくってうさぎの言葉はそのまましぼんでいく。
「もうすぐ着くから、帰ってからにしよう。うさも冷えただろ?」
「う・・・、それはそうだけど・・・」
確かに二月の寒空は身にしみるくらいまだ寒いのでうさぎは同意した。
そろそろ暖かいココアが恋しい。
衛のマンションについて、彼がいつものようにコーヒーとココアを用意しているのをうさぎはなにとはなしに眺めていた。
先ほどから完全に衛のペースになっている。
チョコレートを渡す段取りどころか、あまりにも衝撃的な出来事が起こってメインイベント自体が霞んでみえる。
別にキスするくらい恥ずかしくはないのだけれど、人前で何の心構えもなしに不意打ちされるとさすがにずしんと心にきた。
そもそもこっちはこんなにも動揺してしまったというのにどうして衛のほうは平然としているのだろうか。
どうにもそれが悔しい。
だから衛がコップをテーブルに置いた時口に出してしまった。
「まもちゃんずるい」
「なにが?」
わかっているのかいないのか。
そんな答えを返す衛にうさぎはますます頬を膨らませる。
「ずるい。だってさっき急に・・・あんなことするし・・・・・」
「あんなこと?」
「キス!・・・・・したじゃない」
キスと言って状況を思い出したのかうさぎの威勢がとたんに萎えた。
「あれは、まあ・・・。ああするのが一番わかりやすかったというか。悪い、怒ってる?」
「別に・・・。怒ってるというか、まもちゃんだけ平然としてて悔しいというか・・・・。なんというか・・・」
「俺だって、ドキドキしてるけど」
「えっ?」
思いもよらない言葉にうさぎは顔をあげた。
衛はコーヒーに口をつけてから口を開いた。
「今日はバレンタインデーだろ。うさは何をくれるのかな?と」
そこでいったん言葉を止めて衛はぐっとうさぎに近づいた。
「俺は現物支給でもいいんだけど?」
うさぎの耳元に、息がかかるくらいの間近で聞いたセリフにうさぎの頬は一気に赤く染まった。
「もう!チョコレート作ってきたのっ」
どうやら今年のバレンタインデーは衛に主導権を握られてしまったようだった。
心臓に悪いけれど、こういうときのまもちゃんはちょっと色っぽくってそれもまた嫌いじゃないのよね、とうさぎは心の中でつぶやいたのだった。



あとがき★★★
14日に間に合いました。
よかった
ちゃんと予告は果たせました。
イラストは清書どまりだったけど
(あした色塗りします)

ひさしぶりのまもうさは、バレンタインだしっていうのもあって両想いバージョン
ほんとは
「別にあんたのために用意したんじゃないんだからねっ!」
とかいうツンデレセリフとともにチョコを衛に渡すとかいう無印初期設定もやってみたかったんだけど
台詞は思いついても状況描写が思いつかなかった・・・

それもあってラブラブなころで
今回衛さんのほうが一倍上手です
某エドガーが若干入っているんじゃないかと思うくらい・・・

こういうのも好きなんですよねー

アニメだとうさぎ→衛が多いけど
衛→うさぎとか、大好き


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テーマ : 二次創作:小説 - ジャンル : 小説・文学

タグ : まもうさ 二次小説 セーラームーン

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この記事へのコメント

最高!!

まもちゃんが強引な感じが最高に好き!!…原作やアニメとかは、なにぶん。…うさぎちゃんが動く事が多いので、こういうのはホントに貴重でキュンとしちゃいました!

そして!!!!

未来様にもう一つお礼を!!

実は、私さっきまでリトルマーメイド2を見ていて…

あの…えっと…これじゃあ唐突過ぎ(--;)

実は私、ディズニー作品でリトルマーメイドがホントにホントに大好きなんです。アリエルとエリックがたまらなく好きでして☆

それで今日ふと結婚後の二人を見たくなって2を見たんです。

いやぁ~何度見てもリトルマーメイドは大好き!って改めて思ってその衝動で…

誰かアリエルとエリックの二次書いてないかなぁ~…。

ないかなぁ~('`;)なんて検索したらフェアリータウンさんがヒットして!

もう…私。えぇ~!!みたいな!み、未来様書いてくれてる!!ありがとうございます!嬉しすぎる!!…しかも書いて下さったの2008/05/11…。

なんで私知らなかったんだよ~!!って。

もう色々と感情が出て、抑えが効きませんでした(笑)

くしくも…アリエル、エリックの二次はフェアリータウンさんの
『君という宝物』だけでしたが、貴重な一つがフェアリータウンさんで本当に嬉しかったです(*^^*)

内容が独占欲なエリックで…
私の大好きなジャンル…独占欲!!

(おいおい(--;))
いやぁ~!!
アリエル大好きなエリックはヤバかったですね!!

独占欲強い王子バンザイ☆

(…もう。完全に壊れちゃっててすみません/笑)

そしてこんな夜中に、
リトルマーメイド2のラスト…。
…10年経ってもアツアツな二人にキュン死にしたのはこの私です(笑)
それを見た後での未来様の作品でしたのでホントにヤバかったです!萌え→きゅん☆→画メモ→ニヤニヤという完全に危ない人になってました(笑)

でもそれが何よりの癒しであり幸せなんでいいんですけど☆

…って私長すぎ…

すみません。それではここら辺で失礼させて頂きます。

長々お付き合い下さりありがとうございました。

| ちこ | URL | 2009.02.15 01:39 |

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