--.--.-- --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | |

2009.03.24 21:36

その日はどうしても断れない夜会があってエドガーは時計の針が真夜中にかかるころやっとのことで帰路につくことができた。

夜会の雰囲気は嫌いではない。

きらびやかな楽の音、さざ波のように満ち引きを繰り返す嬌声。

それもひとたび一人馬車の中へ戻れば現実へと引き戻されてしまう。

エドガーはふと外を見やった。

なじみ深い通りだ。

それはそうだろう、リディアの住まう地区なのだから。彼女はもう夢の中へ旅立ってしまっただろうか。

きっと今日の夜会だって隣にリディアがいたら何倍にも楽しさがふくれたはずだ、とエドガーはつい考えてしまう。

カモミールの香りのする、やわらかく結いあげた髪の毛にキスを落として、リディアの赤く染まった頬を宝物を抱くようにそっと挟み込む。

彼女はいままだ起きているのだろうか。

もし、もしも一目でいいからあの窓から顔をのぞかせてくれれば。

エドガーは馬車をとめさせて、外に降り立った。

吐く息もうっすらと色づく、冬の到来をほんのすぐそばまで感じさせる夜。

エドガーは道端に落ちていた小石を拾いあげて、狙いを定めて住宅の窓へと投げた。

何度かリディアの部屋にあげてもらったことがあるから、おおよその見当はついている。

間違いないはずだ。

コン、コン…

願いは届くだろうか。

あまり大きな音をたててしまうと目当ての女性以外の人物たちも何事かと様子をうかがいにやってくるだろう。

どうか、リディアが気づいてくれますように。

それは淡い、願望。

僕の妖精よ、気がついて。

どうか一目その姿を。

何度か挑戦して、あたりに手頃な小石が見当たらなくなったとき。

「エドガー?」

上から硬い、心底驚愕した声が降ってきた。

リディアは夜着の上から厚手のショールを肩にかけ窓を開いて、エドガーの方を見下ろしていた。

まさかエドガーがいるとは思わなかったのか、幾分無防備だったリディアはヒャっと息を飲んで奥へと引っ込んでしまった。

ああ僕の妖精が消えてしまった。

こんな夜更けに訪ねてくれば警戒しないはずないのに。

顔が見れればそれでいい、けれども姿を一度視界に入れてしまえば今度は声が聞きたい、次はこの手で触れたい、きっとこの気持ちに終わりはないのだろう。

エドガーが少しの間立ち止まっているとリディアは上に外套を羽織り再び窓辺に戻ってきた。

「どうしたの?こんな夜更けに」

リディアの吐く息も白かった。

冬は間近に迫っている。

あまり長居はできないな。リディアが風邪をひいてしまうから。

「うん、帰り道に通りかかってね。それで君に会いたくなったんだ」

「最初はなんだろう?って。だって急に音がしたのよ」

「リディアに気付いてほしかったんだ」

「こんな夜更けにレディの部屋を訪れるなんて」

リディアは少しだけむくれてみせた。

本気じゃなくて、あくまでも振り。

「これからは気をつけるよ」

エドガーは肩をすくめて見せた。

「エドガー」

「なに?」

「その、おやすみなさい。風邪、引かないようにね」

「ああ、お休み。僕の妖精」




あとがき★★
ひさしぶりな伯妖二次です
エドガーの口説き要素がちょっと控え目です
その分リディアが素直です
エドガーはたぶん押してダメなら引いてみる。とか無理そうですよね
押してダメならとことん押し通せ、とかになりそう


タイトルの響があやしげですが、中身はいたってふつーでした

ちなみに、元ネタはセラムンのスターズです
(これをまもうさでやってほしかったっていうのを伯妖にアレンジしてみました)
スポンサーサイト

テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

| 伯爵と妖精 | コメント(0) | トラックバック(0) | |

この記事へのコメント

コメントを書く

管理人にのみ表示

↑ページトップ

この記事へのトラックバック

この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

↑ページトップ


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。