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2007.09.30 00:48

暖かい日差しが香る午後のひと時は大きな木の下で本を読もう。
バスケットにビスケットにジャム、スコーン、それから読みかけの本を詰めて。
暖かい木漏れ日の中で気ままに過ごす自分の時間。
時たま妖精たちが構ってとばかりに髪の毛を揺らしたりバスケットの中のビスケットに手を伸ばしたりしてきてはリディアは頬を持ち上げて笑みを浮かべる。
こうやってゆっくり過ごすことが出来るのはとても贅沢なことだ。
街では変わった子として有名でも街の外、丘の上や森の近くにはリディアの友達が大勢いる。
だから少し多めにお菓子を持ってきても夕暮れ近くになれば全て空っぽになるのだ。



リディアは髪の毛を抑えながらページをめくる。
どうも先ほどから構って欲しいとばかりに妖精がリディアの髪の毛を持ち上げる。
ページの先が気になって仕方ないリディアはもうちょっと・・と熱心に単語を追いかけている。
するとリディアの頭上に影がよぎった。
そしてそのままリディアの体は影に覆われてしまう。
何事かと顔を上げれば見知った顔。
「なんだ、ケルピーじゃない。どうしたの?」
とある出来事でこの妖精と知り合いになってからというもの、彼は何を思ったかやたらとリディアにちょっかいをかけてくるようになった。
最初の頃はアンシーリーコートということで警戒もしていたがリディアに害をなさないとなんとなく感じ取ってからは普通に話すようになっていた。
「リディアの家までいったら留守でさ。テキトーに探してたらここにいたから。」
「そうじゃなくって、なんで家までくるのよ?」
それでもケルピーに対して油断はできなかった。
なにせ彼はアンシーリーコートだし、リディアにこないだは求婚までしてきたのだ。
何を逆手にとって妖精界へ連れ込まれるかはわからない。
「相変わらずつんけんしてんなぁ。ほら、人間って好きな女に贈りものとか渡す習慣があるんだろ?俺様も最近は色々と研究をしてるんだ。」
どうだ?すごいだろうと自慢されてはリディアも何も返す言葉がない。
そんなこと褒めてとばかりに吹聴されてもなんと返して言いか返事に詰まる。
「・・・・・・あぁそう。」
彼が来たのでは読書は続行不可能だろう。
他の妖精たちもケルピーにおののいて去ってしまった。
「で、これだ!」
ドサリと置かれたものを見てリディアは後ろに後ず去った。
「ちょっと!どこの世界に女の子に死んだガチョウを贈る男性がいるのよ!」
「すごいだろ。食べごろなんだぞ、これ。」
ケルピーは妖精で、贈りものだって人間とは感覚が違う。


しかし、よりにもよって・・・。リディアは昼間の出来事を思い出したくも無かった。
今日のことは記憶の底から消し去ってしまいたい。
リディアが絶叫して拒否した、ケルピー曰く食べごろなガチョウのその後はあまり想像したくなかった。
寝れば忘れるだろう。
半ば現実逃避をするようにリディアは寝台に潜り込もうと準備をしだしていると窓の外にコツンと何かが当たった音がした。
気のせいかしらと大して気にとめないがそれが二度三度起これば話は別だ。
訝しがりながら窓の側に近づいていくと窓が開き漆黒の馬が姿を現した。
間違いようもなく昼間に顔をあわせた妖精、ケルピーだ。
「ケルピー。何回か忠告したと思うんだけどこんな夜更けにレディの部屋へ立ち入ろうなんていくなあなたが妖精だって許されることじゃないのよ」
ここは強気に出ないと、とリディアはいくらか声を荒げまくしたてる。
「わかった、わかったから。どうしてもリディアに見せたいものがあってさ。だから少しだけ外にでないか?背中に乗って。」
「そのまま妖精界につれていくんじゃないでしょうね?」
「今はそれはしない」
ってことはいつかはするってこと?
問い詰めたいが本気で是と返ってきそうで尋ねられない。
しょうがない。今回は特に悪意はなさそうだしここで押し問答をして階下の父に見つかっても面倒だ。
ニコも今日は姿を現さない。
「あんまり長い間は無理よ。父様に気付かれちゃうし、もう夜なんだから風邪ひいちゃうわ。ちょっと待って。」
リディアは急いで外套を取り出しはおる。
そして窓の外にいるケルピーの背中へとまたがる。
冷たい空気がリディアの頬を撫でるように触れる。

ケルピーはリディアを乗せるとそのまま高く駆け上がった。
ものすごいスピードで近道に妖精の道を駆ける。彼曰く近道らしい。
髪の毛が風にはためいている。外套もばさばさと揺れている。
するとケルピーが速度を緩めた。
余裕が出来、改めてリディアがあたりを見渡すとそこは湖のほとりだった。
漆黒の湖。
唯一の明かりは月の光だけ。森が暗く、すぐそこに闇が迫っているが不思議とリディアは怖くなかった。
「綺麗だろ。人間ってこういうのも好きだって仕入れたんだ。」
ケルピーの背中、何時の間にか湖の上へと移動し、眼下には湖に移る美しい月が浮かんでいる。
「何処で仕入れてきたのよ、その情報。」
「どこだっていいだろ。それよりどうなんだ。昼間の贈りものはダメだったけどこれなら文句なしだろ」
どうやら昼間のリベンジらしい。それほどあのガチョウは自信満々だったのか。
リディアとしては何時までも持ち出して欲しくない話題である。
「うん。とっても綺麗。連れてきてくれてありがとう、ケルピー」
とても素敵な景色にリディアの表情も自然と緩む。
「だろ?これで月を贈ったことにならないか」
「ダァーメ!。これは湖に映っている月よ。本物じゃないわ。」

やはり、油断大敵らしい。
こんなところもやはり妖精らしいといえばらしい。けれどもいっそその態度は清清しくって言葉とは裏腹にリディアは笑っていた。



「リディア、また夜の散歩に行こうぜ。」
エドガーになんだかんだと捕まってすっかり日も落ちた伯爵邸のバルコニーには漆黒の馬が一頭。
時は流れ、リディアがロンドンに出てきて伯爵邸で働くようになっても旧知の妖精は時々彼女のもとを訪れる。
「誰が散歩に行くだって?」
返事をしたのはリディアではなく彼女の雇い主の伯爵。毎回絶妙のタイミングでケルピーとリディアの前に立ちふさがる。
「俺とリディアにきまってるだろ。」
「それよりも、またっていうことは前にも二人きりで逢引していたってことなのかな」
やはりそこは聞き逃さなかったらしい。ゆっくりと笑顔でリディアに向き直る。
「ちょっと、相手はケルピーよ。妖精相手に逢引はないじゃない!もう、そんなんじゃないわよ!」
「僕の妖精が、どこぞの男にたぶらかされないか心配なんだ。こんなにも君は魅力的なんだから。だからいつも僕だけを見つめていてほしいんだよ」
「こら、なにどさくさにまぎれてリディアを口説こうとしてるんだ!その手離しやがれ!!」

あぁ、今日の夜も長くなりそうね・・・・・
話の中心にいながらリディアは二人のやりとりを横耳に挟みながらうんざりしていた。




☆あとがき☆

昨日に引き続き二次創作。
今回は伯爵と妖精。こっちは全然ラブラブじゃない、どっちかというと日常話。
でも私ケルピーとリディアのやりとりも大好きなのでこういう話好き。
最後のエドガーとのやりとりも趣味です。
すきなの、こういう取り合い。
伯爵と妖精は本編でエドガーがリディアを口説きまくってるから、どうしても二次創作するとこういう方向になっちゃう。
今度でる短編集の書き下ろしも楽しみ。

前回があんなラブな書き下ろしだったから今回もかなり期待してます。
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テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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