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2014.02.11 21:59

朝から東京地方は近年まれにみる大雪に見舞われていた。
ちょうどタイミング良く休日に重なっていたので通勤通学の足への影響は断片的だが無理な外出は控えるようにというようなアナウンスがテレビの向こう側から流れていた。
窓の外に目をやれば確かに大粒の雪がはらはらと宙を舞っていた。
雨が降るのとは違う世界が少しだけ時を止めたかのようなゆるりとした感覚。
衛はしばらく窓の外は何とはなしに眺めていた。
特に何もない休日だった。
たしかまだ冷蔵庫の中にはいくばくかの食料があったはずだ。
それともまだ足元がしっかりしているうちにあす以降の食料を買いに出たほうがいいだろうか。
東京都心でももしかすると十センチほど積もるかもしれないとキャスターが話していたから、明日のほうが外を歩くのは困難かもしれない。
今ならまだ積もっていても数センチ。
雪に濡れるのは気が進まないが一人暮らしなのだからしょうがない。
と、頭の中でせわしなく思案していると玄関のチャイムが鳴るのが聞こえた。
このような雪の日に誰だろうか。
新聞の勧誘か宅配便か。
「はーい」
がちゃりと玄関を開けるとはたしてそれは衛が思い描いた両名でもなく、
「まもちゃーん、こんにちは」
と、相変わらず元気な声でにこりと笑ってみせたのだった。




ひとまずこの雪の中を歩いてやってきた少女を家の中へ入れ―もちろん少女は衛が今現在付き合っている恋人だ―あわてて予備のタオルを濡れた頭にかけてやった。
「タオルはあとでいいよ?」
きょとんとして彼女、うさぎは衛を見上げた。
「あとって?」
一応嫌な予感がしたけれど衛は念のために尋ねてみた。
「うん、遊びに行こう」
うさぎは特上の笑顔で答えたのだった。


「…なんで俺はいまここにいるんだ?」
一応自問自答してみる。
衛の家からも徒歩圏内の地区でも一番に大きい公園である。
雪の降っているさなかどうしてこのような場所にいるのか。
もちろん衛の恋人であるうさぎに急きたてられてやってきたのだが。
たしかに公園には気の早い子供もちらほらと遊んでいるのだが―もちろん保護者と一緒だ―自分たちと同じようなカップルは当たり前だが皆無だった。
「まーもちゃんっ、雪!雪だよ」
かさを放り出してくるくると踊るように回りながら先を急ぐ恋人を放っておけるはずもなく、衛も先を行く彼女の後ろをついて歩いているのだった。
頬を赤く染めてはしゃいでいるうさぎのことを内心可愛いと思っていることは内緒だ。
おくびにも出していない。
「それよりうさ、寒くないのか」
「んんー、ちょっと」
つい最近まで「冬さむーい」とか言っていたような気がするが雪の前では寒さの優先順位は下位になるということか。
「ほら傘をちゃんとさして、風邪ひくぞ」
「はあい、ってそしたら遊べないからいらない」
「いらないって…」
そうしてうさぎはかばんの中からごそごそと何かを取り出した。
「ちゃんと帽子持ってきたから」
ニット生地のそれをかぶって再び元気よく歩きだす。
ああ、見ているほうが寒い。本気で風邪をひかないか心配だ。
雪は弱まる気配が全くなく、むしろさきほどよりも強く感じるくらいだ。
子供の嬌声が遠くのほうから聞こえてくるが、それも実際よりも遠くに感じる。
今ここにいるのが衛とうさぎだけ、そう感じることができるほど世界は雪によって遮断されている。
「新しい雪の中を歩くのって楽しいね」
さくさくっと音を立てて新雪の中を進んでいく。
確かにこの独特の感覚は普段東京に住んでいる身としては新鮮だ。
衛も幼かったころは雪が降ると自然と心が浮足立ったものだ。
そしてもうひとつの既視感。
あれはたしかまだ衛がエンディミオンと呼ばれる立場にいたころのこと。
初めて雪をみる恋人は今と同じようにさくさくとリズムを刻んで雪の上を楽しそうに、そしておっかなびっくり歩いていた。吐く息も白くて、エンディミオンはもってきた厚手の羽織物を彼女の肩から掛けてやった。
-エンディミオンの匂いがする-
少し照れながら掛けられた羽織物をぎゅっと手元に寄せて顔をうずめる彼女がとてもいとしくて、そのまま抱きしめたい衝動にかられるのをじっと抑えていた。
「きゃっ」
小さな悲鳴の後ぼふっという音に衛の意識が現実に引き戻された。
少し先を歩いていたうさぎの姿が視界から消えていて衛はあたりを見渡した。
少しだけ下のほうに目線をやると、案の定というか衛の危惧したとおりうさぎが雪に埋もれていた。
なにもないところでもしょっちゅうつまづくのがある意味うさぎの特技のうちの一つのようなものなのだ。
足元のおぼつかない雪道で、いつも以上に衛が気を配っていなければならないのに油断した。いや一瞬だけ過去に意識が飛んでいたのか。
「大丈夫か」
あわてて衛が駆け寄るとうさぎは雪の中から起き上がって自身についた雪を払っていた。
「えへへ、やっちゃった。まだやわらかいからあんまり痛くなかったよ」
そういって衛が差し出した手を握ってうさぎはたちあがった。
「しっかりできあがったな」
「なにが?」
「うさの人型」
やわらかい新雪だったのでうさぎがこけたそのままのかたちに跡ができあがっていた。
ナスカの地上絵ならぬうさぎの雪絵のようでもある。
「もーうっ、そんなに笑わないでよ」
「ああ悪い。でもこれはこれでかわいいよ」
「ほんとぅ?」
うさぎが疑わしそうな目線を投げかけてくる。
「ほんとだって。これから消えちゃうのがもったいないくらい」
まだ雪は降り続いている。きっとこの上にも新雪が降り重なってすっかり覆いつくしてしまうだろう。
「まもちゃんがそういうなら…。なんだか消えちゃうのももったいないかも」
雪がやんだらもう一回だいぶしてみようかな、と本気で思案しているうさぎだが一晩おいた雪は固くなるだろうから絶対に止めなければと衛は誓った。
「で、そろそろ気が済んだか?」
「うーん…」
うさぎは名残惜しそうにこれから進む予定であった公園の先を見渡した。
「せっかくだから雪だるま…」
「これ以上外いたら風邪ひくぞ」
現につい先ほどこけて全身ダイブをしたのだ。それ以前にこんこんと降りしきる雪が服にもからみつきうさぎのコートを濡らしている。
「小さいのだけでいいから。二つ!私とまもちゃんの。お願い」
「まったくしょうがないな。だたつくってもこの雪だしすぐに埋もれちまうぜ」
「うーん…だったら…」
うさぎは思案下にあたりを見渡して植木の下のあたりを指差した。
上の樹木が屋根代わりになっているのかあまり雪が積もっていなかった。
「はいはい、わかったって。あそこだな」
うさぎは元気に駈け出してあたりの雪をかき集め出す。
手袋も家に帰ったら乾かさないといけないな。あとはあったかいココアを入れて、予備の毛布はどこにしまっていただろうか。
今現在のことよりその後のことを考えながら衛もうさぎの雪だるま作りに合流をした。
雪を固めて丸い形に整えながらうさぎはポツリと漏らした。
「あのときもこうして小さいの二つ作ったよね」
衛の耳に届くのもやっとの声だった。
「うさ…」
びっくりして衛は思わず手を止めてうさぎのほうに視線を向けた。
「えっ、なに。なんでもないよ」
うさぎは元気に笑ってまた雪だるま作りに没頭した。
そうか、あの時も確か。
雪にはしゃいだセレニティにエンディミオンは教えたのだ。雪が積もったら地上の子供たちが遊ぶ雪遊びのいくつかを。
大きなものはむりだけど小さいものだったら私にもつくれるかしら、そう言ってセレニティは手袋も着けずに雪の中に手を突っ込み雪の塊を作り上げようと奮闘してエンディミオンは彼女の手がしもやけにならないかとかなりひやりとしたのだった。
もちろんそんな無茶などさせられないからあわてて彼女の手を雪のなかから引っ張り出して跡は自分が全部引きついだ。
そういえばあのときは、エンディミオンも過保護すぎよ、なんてぷりぷり怒っていたような気がする。
「今度は二人で一緒につくろうか」
「え?」
「さすがに素手で雪だるまをつくらせるわけにはいきませんから、お姫様」
うさぎはゆっくりと衛の顔を見つめてそれから彼の瞳の中に何かを見つけたのか一度目を見開いた。
すぐに花のような笑顔をつくって大きくうなづいた。
「うん」



あとあがき

久しぶりに新作です
関東地方の大雪にテンションがおかしくなり…いやネタが降りてきて
雪話です。バレンタインはすっ飛ばしな感じで。
今年は自分用に伊勢丹でおいしいの買ってきて本番前に堪能しきりでした。
さて、このブログでずぅっとまもうさを不定期更新していると何ネタを書いたかさっぱりわからなくなります。
だって基本ブログに一発本番でかいているんだもん。
バックアップなんて取っていないので。(自慢する事じゃない)
なのでもし既出ネタだったらごめんなさい
あとお花見ネタ考えているのでまた今度書きます。たぶんこれは初めてだと思います(きっと)

いまさらですがピクシブはじめました
新作はこちらで、あっちには過去の二次小説を再録って形で不定期に載せています
ほらやっぱ最近の主流はピクシブみたいなので同人活動の宣伝のためにもやっぱり作ったほうがいいかななんて思ったり

これまで通りまずはフェアリータウンでイラストも二次小説も発表していきます
ただ私がずぼらで過去のまもうさ二次小説のカテゴリをこちらで作っていないので探すのに不便な場合はピクシブのほうがいいかもです。
リンクはこちらから
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タグ : まもうさ セーラームーン 二次小説

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