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2015.12.15 20:09

とある日の放課後。
わたしは学校を飛び出して学区を超えて十番中学校の通学路へとやってきた。
物陰からじぃーっと、とある少女を見つめる私の姿は一見するとちょっと怪しい人に見えるかもしれない。
私自身いたって真剣だし、別にそんな怪しいことをしているっていうこともないんだけれど。
「美奈、行こうよ。ちょっとだけって言っただろ」
下の方からこそこそっと声が聞こえてきた。
「もうちょっとだけ。ほら、まだ顔が見えてないもん。あああ、横とか向かないかな。顔見たいな」
「見つからないように、少しだけっていう約束だっただろう。まだ君はプリンセスと対面する時じゃない」
「分かってるって」
「ホントに?」
ああ、そんなことをしているうちに対象物件がどんどんと遠ざかって行ってしまう。
「分かっているわよ。だからこうして物陰から月野うさぎを見るだけで我慢しているんじゃない」
本当だったら今すぐにでも駆け寄ってがばっと抱きしめたいくらいだっていうのに。
前世の記憶が戻って、ヴィーナスだった頃のこととか側にお仕えしていた大事なプリンセスのこととかを思い出して、わたしはどうしても現在のプリンセスの生まれ変わりである月野うさぎを見てみたくてアルテミスに懇願したのだった。
けれどもアルテミスから帰ってきた返事は、否の一言。
彼女はこれからセーラームーンとして覚醒していき、徐々に自分の使命について自覚をし思い出していかなければならない。
そして私には別に大事な使命があるから、いきなり背後から飛びついて抱きしめるとかそういうことはダメとのことだった。
それでもどうしても一目会いたくて、しぶるアルテミスを頑張って説得して彼女に認知されない、という条件の元でお許しが出たのだ。
アルテミスだってルナのこと懐かしいくせに、我慢しちゃって。
とある平日の学校帰りに立ち寄ってみて、一目見てプリンセスだって分かった。
いまのことろ後ろ姿だけだけれど。
今日はもう、これ以上は無理かな。
私も制服姿だし、違う学校の制服って結構目立つから。
それでももうちょっとだけ、お願い…
そんな願いを聞き届けてくれたのか。
最後に月野うさぎは少しだけを隣を歩いている少女の方を向いたのだった。
その笑顔は私の記憶にあるプリンセンスのそれと重なって、心の奥の本当に奥にある大事な何かに柔らかく触れたのだった。


「プリンセスー、どちらですか」
濃い緑の中、私は大きな声を挙げて守るべき或る時の姿を探して歩いていた。
ちなみに月ではない、ここは地球だ。
宮殿の中は探しつくしたのでこうしてはるばると地球まで降り立ってきたのだ。
どうせ行くところなんて決まっているんだから。
月のプリンセス、セレニティとは彼女が生まれたころからの縁だ。
成長を側で見守って、一緒に笑って怒って泣いて、いろいろなことを一緒に経験してきたし分かち合ってきた。
それは私以外の守護戦士も同じこと。
平和な宮殿の奥で、私たちに見守られてそうやって過ごしていくんだろうと漠然と思っていたのに。
彼女は一人だけ先に次の階段を登ってしまったのだ。
恋という名の階段。
地球にあこがれていたのは知っていた。
しょっちゅう眺めていたし、博識なマーキュリーにしょっちゅう地球の話をねだっていたから。
深窓の姫君な割に意外に行動力のある私たちのお姫様は、あるときこっそりと地球に降り立ってあろうことか地球の王子に恋をした。
ぽきりと踏んだ小枝が割れた。
結構な森の奥まで来たけれど、一向にプリンセスの姿は見当たらない。
合引き現場なんて本当は立ちあいたくないんだけれどなぁ…。
どっちも気まづいし、プリンセスは絶対に頬を膨らませるし。
とはいっても連れ戻さないといけないのも事実なわけだし、こうして私は深い森の中で捜索活動にいそしんでいるのだった。
「やっぱりお城の近くかしら。でもさすがに王子もそこまでの危険を冒すことはないと思うし」
こっちのほうにはいないと見切りをつけて私は元来た方へまわれ右をした。
もうちょっと違うところを探そうか。
まったくうちのお姫様にも困ったことだ。
まあ、困ったとかいいつつ振り回されるのもそんなに嫌じゃないあたり、わたしも終わってるのかもしれない。
かわいらしく小首を傾げられるとしょうがないか、という気分になってしまうのだから。
そんな風に考えながらさまよっていると少しだけ風景が変わってきた。
明らかに森の中でも人の手が入ったように少しだけ整えられているのだ。
地球の城の敷地内だろうか。
そのまま歩いて行くと森が少しだけ開けていて東屋があるのが確認できた。
もしかしたらこの先にいるのかもしれない。
わたしがそのまま足を進めようとすると
「なんだ出歯亀が趣味なのか。月の王国の守護戦士殿は」
という声が背後から聞こえた。
声の持ち主の想像は嫌というほど想像がついたけれど無視するわけにもいかないのでわたしはゆっくりと声の主の方へ振り向いた。
「別に趣味じゃないわよ。失礼ね」
プリンセスを迎えに行くうちに顔見知りになった地球国皇子の四天王が一人、クンツァイトが私の目の前に立っていた。
「そっちこそ、少し過保護なんじゃなくて」
「それはお互いさまだろう?」
そういってクンツァイトは肩をすくめて見せた。
この男がここにいるということは十中八九この先に王子エンディミオンがいるんだろう。
ということはおそらくはプリンセスも。
「最初に貴殿が森の奥にふらふらと歩いて行くの確認はしていたんだが…。迷って迷子にはならなかったんだな」
「なっ!ちょっと何を見ていたのよっ」
「別に。本当に戻ってこないようなら探しに言っていたさ。月の王国の者たちはそろって手がかかると愚痴くらいは言わせてもらったかもしれないが」
四天王を束ねるリーダーらしいけれど、私はこいつのことが少し苦手だった。
なんだかいつも見透かされている気がする、わたしよりももっともっと前を見据えて先の方へ行っているような気がする。
「お探しのプリンセスもこの先にいる」
「…そう」
それ以上会話が続くわけでもなく私たちは二人押し黙った。
お互い守るべき人がいる者同士だけれど、その関係性はあやふやなもので。
わたしはどうしていいのかたまにわからなくなる。
「ねえ…」
沈黙に耐えきれなくなって口を開けたのは私の方。
「なんだ?」
クンツァイトのほうも話に乗ってきてくれたから、もしかしたら彼の方も少しは気まずいとか思っていてくれたのかもしれない。
「あなたは反対しないの?」
「そういうお前はどうなんだ?」
「質問を質問で返さないでよ、嫌な人ね」
私はクンツァイトを睨みつけた。
「俺は…」
口を開きかけたと思ったら、彼は閉じてしまった。
なによ気になるじゃない。
「立場上は反対だ。いや、反対しなければならない」
ゆっくりと彼は言葉をつむぐ。
私は近くにあった木の幹に体を預けて彼の言葉を待った。
時間はまだある。
「地球と月の住人だ。ほかのやつらに知られたら、いや、王子に反感を持つやつらに知られたら格好の餌を与えることになる」
「王子に敵対する人なんているの?優秀なんでしょう?」
私は少しだけ驚いてクンツァイトに尋ねた。
地球国王子エンディミオンの優秀さは月の王国にだって伝わってきている。
「優秀でも関係ないさ。誰であろうと上に立つ者には必ず異を唱える者だって現れる。地球だって一枚岩じゃない。やっかみや嫉みだってある」
「ふうん…」
「けれど、そういうことを抜きにしたら…」
そこで彼はもう一度口を閉ざして私の方に近づいてきた。
私は少しだけビックリして身構える。
「いや、これは案外同じなのかもしれないな」
「何よ」
「俺が今ここにいる理由と、お前がこうして俺と一緒にいる理由」
そういってクンツァイトは私の頭にぽんと掌を乗せた。
そのまま少しだけくしゃりとする。
リボンが曲がるからやめてほしいとは言えず、というかあっという間の出来事にあっけに取られているうちに彼の手はもう私の頭からは離れていて、抗議の声を挙げる隙もなかった。
「ちょ、どういう意味よ…それ」
頭の上の掌から伝わってきたぬくもりが思いのほか暖かくて、私は不覚にも動揺してしまった。


プリンセスだけが先に見つけた恋。
それが少しだけ私にも理解できたのかもしれない。
なんだかもやもやして、自分の心なのに正体不明の生き物が勝手に住みついてそのまま問答無用で大暴れしているように私の心の中はざわめき立った。



過去の記憶を取り戻した時。
当然に地球国にまつわるあれやこれやも思い出した。
プリンセスを追いかけて地球に降り立つようになって知り合った地球の王子を守護する四天王。
なんだかんだで色々と話していたなぁ…とかなんとか。
やっぱりあいつも転生とかしてるのかしら。
そんなことを考えてみたりもしたけれど、その後最悪の再会を果たしてしまった。
正体の知れぬ敵との戦いの中。
そこに見つけたのはよく知った顔の彼だった。
そして同時に敵の正体を悟った瞬間だった。



「あーあぁ、私もうまくやれるかしら」
「大丈夫だよ美奈。美奈が守護戦士のリーダーなんだから」
「そうだけどさぁ、それって前世でのことじゃない。みんなはセーラー戦士としては目覚めたけれど、昔のこと思い出してないのよ。それなのに最後にぽーんとでてきたわたしがいきなり仕切って…」
と、ここで大きくため息をついて
「大丈夫かなぁ…」
もう一度私は呟いた。
前世は前世、今の私は愛野美奈子だもん。みんなだってそれぞれに転生してそれぞれの人生を歩んで来ての今がある。
「美奈は美奈、そのままで大丈夫だよ。僕とだってうまくやってきただろ」
「猫と一緒にされても…」
フォローだかわからないアルテミスの合いの手に私はぼそりと突っ込みを入れた。
「まあでも最初はちょっとくらい大人っぽくしておいた方がいいかもね」
「ちょっと、それどういう意味よ」
わたしはじろりと相棒のほうを向いた。
その相棒はというとあさっての方向をみやって気付かないふりをしている。本当にちゃっかりした猫だといつも思う。
「まあでも私がリーダーだもんね。みんなにも早く思い出してもらわないとだもんね」
わざと明るく言ってみせてわたしは変身ペンを高くかざした。
もうすぐみんなと会える。
きっと辛いことを思い出すことになるだろう。
あの胸の痛み、悲しみと生まれ変わってまで対峙しなければいけない運命…
みんなに私と同じ思いを味わわせると考えると胸が疼く。
けれど…敵は目の前に迫ってきていてこれからの戦いを見据えるとどうしても前世の因縁のことは避けては通れない。
知らなければ前へは進めない。
プリンセスにはかなしい記憶を思い出させることになるだろう。
それでもわたしたちは前を向いて戦い抜くことしかできないし、今度こそ私は守り抜いて見せる。
彼女の笑顔とその先にある未来を。

だから…
立ち止まることはない。
今度こそ、その思いだけで私は足を進める。





あとがき☆★
ずっと心の中にあったものを形にしました
原作、アニメクリスタル寄りの美奈子視点のお話です
クンヴィ風味も入れてみたり
まもうさばかり書いていたのでめずらしいお話かと
あるひ急に書きたくなって、ざーっと書いてみました
実は四四だとクンヴィが一番好きです
というか色々な方が書かれている四×四を読んだり観たりしているうちにいいなぁと思い
自分でも書いてみたくなりまして
そんなこんなで、こんなお話

クンツァイトと美奈子ちゃんがきゃっきゃしている現代話とかもそのうち書きたいです
もちろん美奈子ちゃんは絶対ツンデレ風味で
二人で温泉旅行行くお話とかいつか書きたい
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