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2007.10.14 12:49

ポールは固まっていた。
驚愕、というよりはこれから起こるであろう修羅場に対しての恐怖のほうが強かったから。

そう、世間からは青騎士伯爵として知られている屋敷での目の前でのことだった。


ポールが彼の屋敷を訪れたのは先日起こったとある事件の事後処理、報告のためだった。
ロンドン橋で起こった一連の事件。
なんとか組織のたくらみは阻止できたものの色々派手にやらかしてしまったためその後の処理や片付けに朱い月も奔走していたからだ。
「よ、ポールじゃないか。」
ポールの固まりっぷりなど全く気にせずに件の女性は気安く声を掛けてくる。
コーヒー色の髪の毛を無造作に頭の上でまとめた女性。確か名前はロタ。
そして、彼女は青騎士伯爵の愛人―
そう信じて疑わないポールはこの鉢合わせに固まってしまったのだ。
きっと彼女はエドガーの元を訪れた、けれどもこの屋敷には彼の婚約者のフェアリードクターもいるはずで。
「なぁに固まってんだ。あんたもアイツに用があってきたのか?」
そんなポールの胸中などお構いなしでロタは気安く話し掛けてくる。
これからの修羅場を想像するだけでポールはこの場から逃げたくなった。
「ええ、まぁ。色々報告もあることですから。」
「ふぅん。ま、わたしはアイツに用ってゆーかリディアに会いに来たんだけどな。家にいっても日中はずっとこっちに詰めてるって言われるしさ。」
まずい。
どうやらこの少女は伯爵の婚約者に用件があるらしい。
この時点でポールの頭の中には愛人が正妻へ殴りこみ行くという図式しかなかった。
そういえばあの事件の最中にもこの愛人はリディアのことを知っている口ぶりだったはないか。きっとこれから伯爵を巡っての壮絶な修羅場が繰り広げられるに違いない。いや、きっとリディアのことだからあきれて今度こそ本当に実家に帰ってしまうかもしれない。
ここはなんとか自分が彼女を止めなくては。
「えぇと、ロタさん。今日は天気もいいですしこれから・・・・・・その・・・・」
急に話を振っても元来そういうことにはまったく手馴れていないポールだ。すぐに言葉に行き詰まってしまう。
「天気だね。だから何?」
「えぇと、その・・・・・・・・。伯爵もきっとお留守ですよ。だからその・・・・」
「じゃぁあんたは何で来たんだよ。用事があるんだろ。だったらアイツは屋敷にいるさ。」
「きっと天気がよくってリディアさんを誘って散歩にでもでかけているかなぁなんて」
そういった途端、目の前の少女の眉間にしわが寄る。
しまった、地雷だと思っても後の祭りだ。
そもそも愛人の前で本命の名前を出すなんてと1人うなだれるがそうしたところで状況がよくなるわけでもない。
「あいつ!もしそんなことしたら只じゃおかないぞ!病み上がりのリディアを連れまわすなんて!」
墓穴を掘ったことに消沈しているポールにはぼんやりとしか聞こえない。
さも、私を置いてそんな女なんかと!くらいに変換されてしまっている。
「い・・いやだから今のは言葉のあやで。きっとロタさんだってお誘いしたいはず!そのうちお誘いがありますって」
むちゃくちゃなフォローを入れてしまう。
「はぁ?何言ってんだこいつ。」
「あぁだから今日は一度引き取って後日改めて」
「なんで私が帰らなくちゃいけないんだ。仮にエドガーのヤツがリディアを連れまわしているならここで帰りを待ってきっちり話をつけてやる!」
「あぁぁぁそんなことダメですよ!いいから今日は帰りましょう」
押し問答になりポールはこうなったら意地でも今日は帰らせるぞとロタの腕を掴み敷地の外へ歩こうとした。
「こら、なんでアンタが指図するんだ!」
一方ロタとて元海賊。
こんな一見したところ優男に負けるわけが無い。
あっさりと手を振り解き扉を勢いよく叩こうとしたが、外の喧騒に気付いたのかその前に屋敷の執事が扉を開けた。

手を振り解かれよろけて体勢を立て直している間にロタはトムキンスに取次ぎを頼み屋敷の中へと吸い込まれていく。
慌ててポールも後を追ったがこうなったら少しでも最善の策を講じるしか入ない。どうにかしてロタとリディアを引き合わせないようにしなければと。
程なくして応接間に通されエドガーが入室してきた。
ポールはすっかり青くなってしまい挨拶もおざなりになってしまう。
一方ロタのほうはというと。
「どうして君が我が屋敷へ来たのかな。もうこの間の支払いの件は片付いたはずだろう?レイヴンつまみ出せ」
「こ、こら!リディアに会いに来たに決まってんだろう」
「僕の妖精は僕としか会わないよ。」
「何抜かしてやがるんだ!お前がリディアをこき使っていないかどうか確かめにきたんだ」
「何を言っているんだ。僕がそんなことするはずが無いだろう。リディアにとってここはもう自分の屋敷も同然だからね。いつも寛いで僕と愛を語っているよ」
「その婚約だって妖しいもんだ。いいからリディアと会わせろ」
二人の日常会話を知らないポールにとっては思い切り愛人との修羅場に見えた。レイヴンもロタに近づいてくる。
ここはどうにかして穏便に済ませねばとポールは伯爵に加勢することにした。
「そうですよ、ロタさん。ここは一度引き下がって。後日リディアさんのい
ないときに改めましょう」
「はぁ?さっきから何わけのわかんないこと言ってんだ」
「後日どころか僕はもう用は無いから改めてもらわなくてもいいんだけど」
状況はそれこそ修羅場と化していた。
エドガーはあくまで優雅に座っているがロタはポールとレイヴンを相手に苦戦を強いられていた。
「ダメですよロタさん。伯爵は正式に婚約したんですから!もう諦めましょう。」
ここにきてロタにも目の前の青年と会話がかみ合っていないことに気付いてきた。
「おまえなんか勘違いしてんじゃないのか?」


と、そのとき。
「エドガー、ロタが尋ねてきているってニコから聞いたんだけどまだいるかしら。」
扉が開いて伯爵の婚約者が姿を現した。
まずい。婚約者と愛人の鉢合わせ。
いくら世情にうといポールとしてもこれは一番まずいと感じていた。
「伯爵!早くロタさんを隠してください!!リディアさんと修羅場が」
広い室内にそんな言葉だけが響き渡った。

結局なんてことは無い。
ポールの勘違いだったのだ全て。
最初に出会ったときからそれはもう盛大にポールの勘違い思い込みだった。
「まさかよりによってこんな女と僕が出来ているなんて勘違いするなんてね。僕はリディアだけを愛しているんだよ」
それがエドガーの感想。
「はっ。側近にまで勘違いされるなんてこれまでの所業がモノをいわせている証拠じゃないか。」
ロタは盛大に毒づく。
目の前の青年の今までの不可解な言動は全てこの男。エドガーの女性癖の悪さが原因だったのだ。というとあの事件の船の上での言動も頷ける。
完全にとばっちりではないか。
リディアはポールが勘違いするのも無理は無いわねと思いながらもコメントは差し控えた。
それではポールにも悪いしフォローに回ったエドガーの口説き魔具合も恐ろしい気がするからだ。
それよりもロタがリディアを心配してくれてわざわざ屋敷まで足を運んでくれたのが嬉しかった。
二人は隣通しソファに座ってお茶を飲んでいる。
それでもリディアの何ともいえない曖昧な表情を鋭く察知してエドガーはポールに詰め寄る。
「ポールもとんだ勘違いをしてくれたね。これでリディアが変な勘違いをしてくれたらどうしてくれんだい?」
と笑顔でポールに話し掛ける。
エドガーとしてはほんの冗談くらいだったが本当に申し訳なく思っているポールは意気消沈深くうなだれてしまう。
リディアの友人をあろうことか伯爵の愛人と勘違いしてしまったのだ。
「本当に申し訳ありません」
ポールはロタとエドガーに向かって頭を垂れる。
「まぁ、しょうがないさ。お前も何時までも気に病むことはないさ」
ロタがからっとした口調でもう平気だからといい、リディアも
「そうよ、だってポールが勘違いしちゃうくらい今までのエドガーが女ったらしだったんだから。もうエドガーの言うことを気にしちゃだめよ。」
とフォローにまわり、ポールはますます恐縮してしまった。

それでも。
よく晴れた日の伯爵邸でのお茶はひと時の談笑で明るく賑わっていた。




★あとがき★
ロンドン橋に星は灯るの後日談を書いてみました。
この回はポールの勘違いが面白かったので本編ではまだ未回収のこのネタを先取って書いてみました。
そうそう、こないだからアクセス解析つけまして色んな検索ワードでここをさがして頂いてるようです。
すみません、ホントこんな勘違いネタで引っ張るようなブログですが今後ともよろしくお願いします。
ちなみにロタとリディアのコンビも好きです。
あとエドガーとケルピーの口げんかも。

あれ?二人のラブラブは?
勿論好きですよ。特に花嫁修業は~が一番。

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テーマ : 自作小説(二次創作) - ジャンル : 小説・文学

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